ついに、息子夫婦のところへ遊びに行くことになった。
二人が入籍した1年前から、実はずーーーーーーーっと誘われていた。
ほぼ会うたびに、「遊びに来てください」と。
息子ではない。
お嫁さんから、それは言われていた。
「お義母さんといろんなところに行きたいです。旅行とか行きたいです。」
と、彼女はニコニコ笑いながら言うのだ。
これはわたしが全く想像していなかった展開だった。
普通、嫁にとって姑と言ったら、遠ざけたい存在じゃないのだろうか?
ツイッターで「義母」とか「姑」と入力したら、ほぼ悪口や愚痴が大半を占めるというのに
息子のお嫁さんは、変わってるなあといつも思っている。
わたしのほうは・・・というと、実はちょっとめんどくさいなと思っていた(オイ)
いや、彼女のことは大好きだしとても大事にしているつもり。
ただなんとなく、
「遠方の息子夫婦のところへ遊びに行くならやっぱり夫も一緒だよね」
・・・と思っていたところがあって、「夫がセットなのは面倒だな」と
そんな風に思っていたのだ。
なので、お嫁さんから「結婚式が終わって落ち着いたら遊びに来てください」
というお誘いの言葉を受けるたびに、
「うんうん、いくね~」などと言いつつ、笑ってごまかしてきた。
ところが、彼女は社交辞令でもなく心から、本当にそう思っていたようで
いざ結婚式が終わると、今度は息子の方から改まって言われてしまった。
「A美がお母さんに来てもらいたいなあってずっと言ってるからさ、
ほんとに来てやってよ。
”お母さん、どこに連れて行ってあげたら喜んでくれるかなあ”とか
楽しみにしてるからさ。いつならいい?」
と、そんな感じで。
え?そこまで?と、びっくりしたがもうこうなると「そのうちね~」
では逃げられない・・・。
ということで日にちまで決まってしまった(笑)
が、憂鬱の種になっていた夫のことは、なんと息子の方から
「来なくていいでしょ」と言われた。
息子も夫のことをよくわかっている。
夫には申し訳ないが、一緒についてきても、あまり自分からしゃべらないし、
楽しいのかつまらないのかよくわからない空気を発して、
わたしや息子が気を遣うハメになるのだ。そしてお嫁さんがいれば彼女をも。
食事にしたってそう。夫は食べ物の好みがうるさく、
しかも「お酒を飲む」が大前提なので
夫が一緒だと、とたんに食事の選択肢が狭まってしまうのだ。
(たとえばイタリアンなど洋食系は全滅する)
だから「お母さんひとりでよくない?」と、息子もそれを望んでいる感じだったので
それなら・・・と、わたしも気持ちがノってきた。
・・・・というわけで、新幹線に乗って息子夫婦のところへ
遊びに行くことが決まった。
といっても実は日帰り。ちょっと日帰りは慌ただしいのだけど、
もともと息子夫婦宅に泊まるなんてことはサラサラ考えていなくて、
もし泊りで行くなら自分はホテルに部屋を取ると決めているけれど、
(泊りとなるとわたしも気を遣うし、彼女にも気を使わせたくないから)
まあ本音を言えば、泊りがけで行ってながーーーい時間一緒にいて、
あちこち観光などしたとしても、
それはそれで気持ちも身体も疲れてしまいそうだな・・・と思ったので
とりあえず今回は「日帰り」とした。
しかし、本当にうちのお嫁さんの「陽」のエネルギーはすごいと思う。
活字にすると伝わりにくいかもしれないけれど、
決して、グイグイ押しつけがましく前に出てくるタイプではない。
決して、馴れ馴れしい態度を取ったりはせず、礼儀正しい。
けれどいつもふんわりと人を惹きつける優しい表情をしているので、
こちらからも話しかけたくなる雰囲気なのだ。
きっと、人と話すことが大好きなのだろうと思う。
そして、こんなふうに人との間に垣根を作らず、すぅ~っと気持ちよく
人懐こそうに入り込んできて、ニコニコ笑って話しかけてくるような子だから
あんなに友達が多いのだろう。
息子と二人そろうと、「ねえねえ、あのことお義母さんに話した?」と
息子に確認しては「実はこの間こんなことがあって~」と、笑顔を見せ
楽しそうに二人の日々の暮らしのあんなこと、こんなこと
小鳥のさえずりのような、優しく心地の良い声で何でも話してくれるのだ。
いったいどんなふうに育てられたらこんなおひさまみたいな女の子になるのだろう?
彼女のさりげないコミュ力の高さと、人懐こさに触れるたびに思う。
本当に不思議でならないけれど、
もしかしたら彼女は母親から怒られたことがないのでは?と真剣に思えるほど
彼女のお母様自身も、話し方も表情も優しい陽だまりのような柔らかさを
醸し出している人なので、きっと性格ではなく、
これは育てられ方じゃないのかな・・・たぶん。
「お義母さんに来てほしい」だなんて、
考えてみたら姑としてこんなにうれしい言葉はない。
まだまだ始まったばかりの嫁姑関係ではあるけれど、
彼女の期待を裏切らないように(笑)
これからも彼女のことを大事にしていかなければ。
ともあれ、息子夫婦のところへ遊びに行くことが少し楽しみにもなってきた。