やり過ごすって難しい。

父が入院中に帯状疱疹にかかっていたらしいことは先日のとおり。

 

norako-hideaway.hatenablog.com

 

↑この記事にも書いた通り、診察を受けた時は

「すでにピークを過ぎている」と皮膚科医から言われていた。

さらに皮膚科医は

「もうここまでくると自然治癒すると思うので軟膏も要らないくらいですけどね」

と、かなり楽観的な見解で「でも一応軟膏出しておきますね」

と言う感じで、軟膏を処方してくれた。

 

そのときの皮膚科医の言葉のニュアンスから「なあんだ、よかった」と

わたしも深刻に受け止めていなかった。

軟膏は、1日2回塗るように言われていて、

朝はわたしがめんどくさいので午前中に訪問する看護師さんにお願いし、

わたしは夜の塗布だけをしていた。

 

ベタベタとした軟膏であることに加えて

まだ治りかけでジクジクしている帯状疱疹の患部から滲出液が染み出てくるので、

それらが肌に張り付かない、ジクジク傷専用のガーゼをドラッグストアで購入してきて

軟膏を塗った上からガーゼを貼る・・・というふうにしていた。

 

ところがここで問題が。

 

このガーゼを父が剥がしてしまうのだ(悩)

それも毎回毎回!

夜、わたしが帰宅する前に軟膏を塗りガーゼで丁寧に蓋をしていくのに

朝訪問したころには、ガーゼがゴミ箱の中に捨てられている。

 

「剥がしちゃったの?」と聞くと、「かゆかったから」と何食わぬ顔。

どんなにかゆくてもかゆくても・・・・

「これを剥がしたらマズイ」ということは、普通の大人であれば理解できるので

搔きたい衝動を抑えられなくて掻いてしまうとしても、

さすがにガーゼは剥がさないと思うのだ・・・。

(ガーゼを剥がさずに掻く方法は考えると思うけど)

そういう我慢が効かないのが高齢者だからなのかな・・・やっぱり。

 

ガーゼを剥がした後はどうなっているかというと、

軟膏と滲出液が、シャツもパジャマも通り越して

シーツにベタベタと染みわたり、とても不潔な状態になる。

だからシャツを着替えさせ、もう一度ガーゼで滲出液の出てくる患部を覆うのだけど

これもわたしがいなくなるとまた剥がす。

なので、せっかく着替えさせてもまたシャツとパジャマを汚す。

 

午前中に看護師さんが軟膏を丁寧に塗りなおしてくれているだろうけれど、

わたしが夕方訪問すると、そのガーゼもゴミ箱の中にある。

 

さらにやっかいなのは・・・

どういうわけか、このごろはパジャマまで脱ぐようになってしまった。

なので、半そでのシャツ(下着)姿で寝ている。

しかも、パジャマを自分で脱いでおきながら、わたしが来ると

「寒いから毛布をかけてくれ」と

イライラしながら文句を言う。

 

ちなみにこのところまだまだ暑さが続いているので、

エアコンはつけっぱなしの状態である。

・・・といっても、父は寒いのが苦手だし、寝室にはエアコンがない。

となりのリビングのエアコンをつけっぱなしにしておいて

その冷風が(扉を開けっぱなしにしてある)隣の寝室に流れ込んでくる感じなので、

部屋が冷えすぎるということは絶対にない。

それでも、寒がりの父は「寒い」と言ったりするので(※室温28度ですけど)

普段からパジャマも長袖を着せている。

その長袖のパジャマを、わざわざ自分で脱いでおきながら

「寒いから早く毛布をかけてくれ(怒)」

と言われる理不尽さがどうしても解せない。

 

 

昨日の夕方のこと・・・・。いつものようにまたシーツは汚い液で汚れていた。

そして、驚いたことにこの日はパジャマの上着だけでなく、なぜかズボンまで脱いで

「寒い寒い」と言っていた。

「え?どうしてパジャマ脱いじゃったの?どうしてズボン脱いだの?」

と不思議がるわたしに対して

父は「そんなことはオレはしらん!」と謎にイライラして答えない。

いや、たぶん本当に覚えていないだろうと思う。

(まだらボケ状態は続いているので)

 

父を起こして、なぜか脱いでしまうパジャマを着せながら・・・

わたしが、

「お願いだから背中のガーゼは剥がさないでね。

でないとシャツもパジャマもシーツまで汚れちゃうんだよ、ほら見て。」

・・・と、シーツを指さしたときだった。

 

 

「あ~もう、
お前はごちゃごちゃうるさいんだ!
もういい!とっとと帰れ!!」

 

・・・と、父が突然キレた。

全く意味が分からない。

わたしだって好きで1日2回も通ってるんじゃないぞ!と、心の中で叫んだ。

何もなければ、本当にその場からとっとと帰りたかったが

「夜の薬を飲ませるまでには帰れない」という事情もあったので、冷静になり

せめてもの抵抗で、その後はずっととなりのリビングで、声もかけずに黙って

服薬の時間が来るのを待った。

そして、冷たいとは思いつつ…父の夕食すら、この日は知らん顔をしてしまった。

パンだって置いてあるんだ。もしもお腹が空けばそのくらい食べられるだろう!と

自分に言い聞かせて。

   

ちなみに、あれほど頭を悩ませた、「配食サービス」は実は再開3日で辞めた。

なぜなら届くたびに父から

「そんなまずい弁当見たくもない、早く捨ててくれ。」と言われるから。

しかも、

「お前は毎日4時に来るんだろ?だったら途中で何かおいしいものを買ってくるか、
お前が何か作ってきたら済む話じゃないか。そんなまずい弁当をわざわざ頼む必要ないじゃないか」

と初日に盛大に文句を言われた。

以来、父に弁当を見せることすらできなくなってしまい(不機嫌になるので)

父に届いたはずの弁当はわたしが夕飯代わりに食べて、

本人には自分がスーパーで買って来たおかずを食べさせるなどしていたが、

父は買って来たものでも結局「不味いから捨ててくれ」と言う状態で・・・

わたしは一体何やってるんだろう?という気持ちになった。

 

なんだかもう本当にいろいろ虚しくなった。

わたしは父が食べない弁当を受け取るために、毎日4時という時間厳守で実家に

来なくちゃいけないのか?と考えたらすべてがバカバカしくなり、

いさぎよく配食弁当は辞めたというわけ。

(父には毎晩、おかゆや冷凍うどん、果物など出している。〇〇を買ってきてくれ、と
言われて買ってきても結局文句をつけて「捨ててくれ」となるので、いろいろ工夫することはあきらめつつある・・・)

 

おかげで・・・4時きっかりに実家に居なければ!という

時間プレッシャーもなくなったし、

残飯処理や弁当箱を洗う手間もなくなったので、

今のところはかえって自分の負担は減った感じ。

今後父の食欲が通常レベルに戻ってきたら再開しようと思っているけれど、

たぶんその日は来ない気がするし・・・。

 

ちなみに、この件に関して父への文句は一言だって言ってない。

黙って全部聞いて飲み込んできた。

 

そして、最も頭の痛い問題が・・・・・

驚くなかれ、またしても父が「酸素サボリ」をするようになったこと。

 

もうまったく手のつけようのない暴挙である。どういう思考なのか理解に苦しむ。

これも日に日に頻繁になってきて、

もうここ2~3日は朝夕わたしが訪ねると、ほぼ100%酸素を吸っていない。

そして、訪問看護師さんの日誌や、ヘルパーさんの日誌を見ても

「酸素を吸われていなかったので、促しました」

と書かれる頻度が増えてきているので、

本当に隙あらば、また酸素をさぼるようになってしまったのだと思う。

 

これについては、1度はきつく注意したが、

そのときも「うるさい!」と文句を言われたので、

以後は一切指摘するのはやめることにした。

 

今回の入院はなかなか呼吸状態が改善しなかったため、

さすがに主治医からも退院時に「もう今後は絶対に酸素を外してはだめですよ」

と直々に注意をされていた。

そ・れ・な・の・に・・・・!

こういうことを平気でしてしまうのだ・・・。

 

わたしは注意することを完全にもう放棄してしまっている。

 

父は退院をして、呼吸状態については今のところ低め安定を保っているものの

ガンによる痛みと全身倦怠感は日に日に進むし、帯状疱疹はかゆいわ・・・

だから外出することすらできず、ずっと狭い家の中に

閉じこもりの生活で・・・

それはさぞストレスだろうと頭では理解できている。

だからこそ些細なことにイラついて、わたしに文句を言うのだろう・・・。

わたしも父のわがままを出来るだけ受容するように頑張っている。

 

しかし父のこういう言動は、「病気ストレスでこうなった」というよりは

もう昔からの気性そのまんまなわけで・・・

 

むしろ「ああ・・・病気になっても性格って変わらないんだな」という

そんな気持ち。

 

そこにさらに「不治の病を抱えている」という、

なんだかもうどんなわがままや横暴さも許容しなければいけないかのような

免責を与えてしまっている状態だから・・・

こちらのメンタルはどんどん削られていくんだよなあと思う。

 

父が健康な状態であれば、文句を言われたときに

「はあ?もう知らない!勝手にすれば?」という捨て台詞で帰ってこられるけれど

 

相手が重病患者となると・・・・どうしてもためらう。

末期がんの親にそんなことを言ってしまうなんて・・・という罪悪感が

逃げても逃げても自分を追いかけてくることになるから。

 

そういう罪悪感にさいなまれないでいられるように

父から言われる理不尽な言葉の数々は、

「年寄りだから、病人だから仕方がないんだ。」

と、自分に言い聞かせて、がんばってスルーするようにしている。

だから、その場では表面的にスルーできているつもり。

 

ただし、心の中にそれらは蓄積していく。確実に。

 

こういう気持ちは、どうやって逃がしたらいいのだろうな~と、

一生懸命考えるのだけど、答えは出ない。