これから先のこと(2)

 

先日書いた記事のつづき。

 

norako-hideaway.hatenablog.com

 

8月末の退院後から、朝夕1日2回の通い介護が始まっているけれど

こんな生活を続けていたら、確実に自分がどうかなってしまうと思う。

体力面のことはもちろん、より深刻なのは自分のメンタル面。

自分がいつも時間とスケジュールに追われること、

夫と会話する時間がほとんどなくなり、すれ違い生活になっていること、

そして、病人とはいっても父のわがままや傲慢さは変わっていないので

行くたびに父の言動に振り回され・・・それを笑顔で許容することに疲弊すること

・・・などなど。

こういう生活の中で「父親に優しい自分であり続ける」ことが

いかに難しいかを実感していて・・・。

同居で親を介護されている方の頑張りは自分には到底マネができないと思い知る。

 

 

兄と話し合った時点での、わたしたちの希望は優先位順に

 

①今の病院に再入院(緩和ケアか?一般病棟か?は主治医次第)

②療養型病院への転院

③有料老人ホームへの入所

 

・・・というものだった。

父も今の病院が好きだし、

わたしも今お世話になっている総合病院がとても気に入っている。

病院自体が明るく清潔感があって、陰気な空気がないのがいい。

そして、スタッフの方たちもみなさん親切で安心できる。

もうよそへ行く気がないから・・・

ここの訪問看護と居宅介護支援事業所を利用することに決めたという側面もあるし。

  

しかし、現時点では「酸素吸入と疼痛管理以外に治療することがない」のが

客観的な事実なので、再入院させてもらうことはまず無理だと思う。

 

いずれは緩和ケア病棟にお世話になるつもりだけれど、

それが今か?といえば、違う気がする。

 

以前も簡単に緩和ケア病棟の話を書いたと思うので繰り返しになってしまうけれど

現在の緩和ケア病棟っていうのはいわゆる「最期を迎える場所」とは限らない。

 

たぶんこれって、医療関係者の人達には周知のことでも、

一般の人達・・・患者側となる人達には浸透していない概念じゃないかと思う。

緩和ケア病棟=ホスピス=最期を迎える場所・・・みたいに思ってる人が

大半じゃないのかなあ。

 

しかし病院側はそういうふうに思っていない。

それは診療報酬の改定など、患者側にはなかなか見えずらい病院側の都合があって、

緩和ケア病棟で患者を1か月以上看ることが出来なくなっていることが一番。

(相談員さんから聞いた)

 

病院によってそのあたりの対応は様々なので一概には言えないけれど

少なくともうちの父がお世話になっている病院では、緩和ケア病棟は

「余命が週単位になった時点で看取りのために入る(余命1か月)」

「痛みのコントロールなど一時的な苦痛の緩和のために入る(※安定したら退院)」

「介護する家族の一時的なレスパイトのために入院する」

のざっくり3つの目的で受け入れがされている。

 

なので、できれば在宅で最期まで過ごしたいと思っている家族や本人にとっては

「体調が悪い時は緩和ケアへ入院、それ以外は自宅」という使い方ができて

いいと思うけれど、

父の場合は、在宅での看取りは考えていないので、

緩和ケアはあくまでも「看取りの場所」という位置づけで考えている。

(このあたりは、あくまで家族単位で考え方が違うのでそれぞれに適した利用でいいと思う)

 

 だから・・・ものすごく奇妙な話になってしまうけれど

余命が週単位になってきたからと緩和ケア病棟に入れてもらったとして、

1か月経っても、予想外にまだ死なないでいたら
(という言い回しになってしまうことはお許しを)

一旦退院させられちゃう可能性もあるの???という不安なことも起こりうる。

実際、病院によってはそういった例もあるらしい。

おそらく、父の主治医はそういう冷たい対応される人ではないと思うので、

その場合はその場合で、何かしら方法を考えてくれると思うけれど・・・(願望)。

 

ただ、そういう事態も起こりうることを考慮すると

こちらから「(自宅では大変なので)緩和ケアに入れてください」というよりは、

主治医から「そろそろ緩和でもいい時期かと・・・」と言われるのを待つのが

いいのかなと思っている。

(※主治医には緩和ケア病棟で看取りたいことはすでに伝えてあるので)

 

・・・・と、そんなふうに思っていることを踏まえても

今の父が緩和ケアへ行く時期か?というと、それは違うと思うので

現時点では、父を今の病院に入院させてもらう明確な理由はない。

在宅で看ることが、今どれだけ大変だとしても、

病院でなければならない理由がない以上、こればかりはしょうがない。

 

そういう点で、第二希望として「療養型病院への転院」を考えていたのだけれど

結論から言うとこれもあきらめた。

 

わたしとしては、

「療養型病院で一時的に療養入院させてもらい、いよいよ・・・となったら、
今の病院の緩和ケアへ戻してもらう」

ということを安易に考えていたのだけれど、この意向をケアマネさんに伝えたところ

 

実際には一度転院したら、再び今の病院へ戻ってくる・・・ということは

難しい・・・と言われてしまったためである。

(転院先で看取りをお願いするつもりの「完全な転院」ならOK)

 

詳しい理由は聞かなかったけれど、これも病院同士の信頼関係の問題だったり、

または、積極的な治療目的など明確な理由があるわけでもない、

「療養と看取り」という目的だけでは、

そんなに患者側の都合よく、病院を行ったり来たりできるものではない

・・・てことなのかなと解釈した。

 

だから、今の病院の緩和ケア病棟でお世話になりたいのだったら、

転院は事実上無理ということ。

 

じゃあ、どうしてそこまで緩和ケア病棟にこだわるか・・・?といえば、

それはやっぱり、癌の終末期の苦痛をケアすることに対してのプロだから。

 

8月の入院中・・・・父は痛み止めが欲しい時はナースコールをして

看護師さんに麻薬をもらうという形だったけれど、

(入院中は麻薬はナースステーションで管理されるため)

正直、ほとんどの看護師さんが「はいどうぞ~薬もってきましたー」という感じで

父の痛みに細かく耳を傾けることはなかった。

別にそのことに不満があったという意味ではない。

一般病棟の看護師さんはさまざまな病気の多くの患者さんを担当しているので、

父の癌の痛みをしっかり聞き取るまでの余裕はないのだろうなあと思ったから。

 

ただ、これがほとんど老人ばかりであろう民間の療養型病院へ移ったら、

この傾向はもっと強くなるんじゃないか・・・?という不安が大きくなった。

(たぶん、看護師さん1人当たりの担当する患者の数はもっと多いのでは?)

痛みや苦痛に合わせて細かく対処してもらえることは期待できないかも・・・と。

 

やはりガンの苦痛はガン緩和のプロのスタッフのいる場所でないと

・・・強く思うのはそこ。

緩和ケアに精通した専門チームが、本人の苦痛と細かく聞きとって、

少しでも苦痛を取り除く工夫をしてくれるだろうという

スタッフと環境に対する期待感がとても大きい。

 

そしてもうひとつ。うちがお世話になっている緩和ケア病棟は、

病棟への入り口が丸ごと大きな扉で完全に仕切られていて、

関係者以外、病棟を歩くことすらできない作りになっている。

(つまり、患者家族など許可された人しか病棟を覗くことすらできない)

 

その静かで落ち着いた環境と、ゆったり快適な個室スペースはリラックスできるし、

 

また、終末期となれば家族が長時間病院に滞在することになると思われ、

そのときに、ストレスを感じないで長時間過ごせる空間であることって

わたしにとっては大事なこと。

 

そのあたりの「専門スタッフ」と「療養環境」へのこだわりが、

わたしが「緩和ケア病棟でないと・・・」と思う理由である。

 

実は父が麻薬系鎮痛剤を処方してもらっている院内の薬剤師さんも

緩和ケアチームの薬剤師さんであった・・・と、後日知った。

 

この方に8月の入院中にも病棟でバッタリ会ったのだけれど、

まだ2~3度しか話したことがなかったわたしのことを覚えていてくれて

向こうから声をかけてくださり、

父の様子を心配していろいろ熱心にわたしの話に耳を傾け、気遣ってくださった。

 

この方の”人となり”からも、緩和ケアチームの意識の高さが見て取れたため、

ああ、緩和ケア病棟ってこんな人たちで支えられているのか・・・!と感激し

より一層、緩和ケア病棟への思いが強くなったともいえる。

 

・・・と、長々書いてしまったけれど

そういうわけで、「いずれは緩和ケア病棟へ」という気持ちがとても強いわたし。

 

けれど、今まだその時期ではない。

そして転院すると緩和ケア病棟に帰ってくることが難しいとなれば、一時転院も無理。

 

かといって、現状の通い介護生活をずっと続けられるという自信がない以上、

どうしても考えなければならなくなってくるのが・・・

 

「施設」という選択肢。

 

次はその話を書きます。