お盆休み中に、包括の担当さん経由で着々と介護保険の区分変更申請は受理されて、
申請した翌日には市役所の担当者から電話がかかってきた。
去年の10月、初めて申請をしたときは手続きから何から・・・
当然初めて経験することばかりで本当にわからないことだらけで
戸惑いと緊張の連続だった。
さすがに2回目となると、わたしも余裕で・・・・
・・・・なあんて簡単ではなく、やっぱり心臓バクバクだった(笑)
もちろん流れはわかっていたけれど・・・
「一体どのくらいの介護度がつくのかなあ?」と受け身でいられた初回と違い、
今回は「介護度上がっているはずなんです」と、
こちらからわざわざ介護度を変更してくださいとお願いしているわけなので
「失敗は許されないぞ!」みたいな気持ちで、別の緊張があった。
何しろ退院に向けて、すでに新たに契約することになる、
居宅介護支援事業所のケアマネさんと
退院後の介護サービスをどういう形にするか?の、打ち合わせを始めてしまっている。
(その話は明日以降に・・・)
だから、これが「変更なし」だったらいろいろと都合が悪くてしょうがない。
なぜなら以前の記事でも書いた通り、
「要支援の人」→ 地域包括支援センター
「要介護の人」→ 居宅介護支援事業所
・・・と、制度上、管轄が違うので(これは全国どこでも)
万が一にも「変更なしですよ、あなたはやっぱり要支援ですよ」
なんて結果になったら
すでに包括支援センターから居宅介護支援事業所のケアマネさんへ・・・と
相談相手を入れ替えてしまっているものを、ま~た包括支援センターへ・・・と
戻さなくてはいけなくなるから。
「要支援」「要介護」、それぞれの枠の中で介護度が動く分には、
さほど困らないけれど、こうして2つのカテゴリーを行ったり来たりする、
つまり、管轄が違う区分のボーダーライン上にいる家族にとっては、
これはなかなか落ち着かない状態。
よって、それだけはどうしても避けねば・・・!
確実に「要介護」を勝ち取らねばー!くらいな気合が入るのが今回の認定調査だった。
しかし、高齢者っていうのはかなりの確率で
この「一切張り切らなくていい認定調査」で恥をかくまいと張り切ってしまう。
普段はボケーーーーっとしているのに、そのときだけキリリとした顔つきになったり
普段は動けないはずが、颯爽と歩いてしまったりね(笑)
わたしの父も、その「高齢者あるある」のパターンどおりに
昨年の初めての認定調査ではもう「できます」「できます」のオンパレード、
そのうえ、立ちあがりや足上げ、歩行テスト・・・といった運動機能を見るチェックも
それはそれは元気よく動いて、「だめだこりゃ」な展開になった。
norako-hideaway.hatenablog.com
なので、今回はわたしも認定調査の日付が決まったその日から
毎日念仏を唱えるかのように
「お父さんもお気に入りのヘルパーさんに来てもらえなくなったら困るでしょ?
お願いだから張り切らないでね。弱々しい老人を演じてね~。
動くときはゆっくり、ゆ~~っくりね、元気よく動かないでね~~」
と、しつこくしつこく言い聞かせ続けた。
ところが・・・・認定調査の日を指折り数えている間に
父の体調は、わたしが思っていたものと少し違う方向へ進んだ。
わたしは父の体力が無駄に回復することを恐れていたのだが・・・
(いや、もちろん少しでも戻ってほしいけれど
それは認定調査のあとにしてほしい!というわがままな気持ち)
体力の回復はぼちぼちだったものの・・・
ここへきて、長びく入院生活のせいで、
なんと父が少々ボケてきたのだ。
日によってボケ具合にバラつきがあるし、
本格的な認知症ではなく、おそらく入院中の一時的なボケだと思うのだけど
今日が何日、何曜日かが思い出せない(←毎日間違える)とか
たとえば主治医がその日病室に来たかどうかも思い出せない、とか
さっき食べたばかりの昼食のおかずが思い出せない・・・とか
わたしはいつも午後に行くというのに「こんな朝早くどうした?」と言い出すとか
ときには
「昨夜隣に知らない女の人がいびきをかいて横で寝ていてびっくりした。」
などと恐ろしいことを言ったことも!
そんな少し不安定な状態の中、
ついにやってきた認定調査当日。
緊張とともに、約束の時間の20分ほど前に
父の病室を訪ねて「もうすぐ調査員の人が来るからね」と声をかけたのだが、
なんと父は、「誰が来るって?」と、この調査員が来ることも覚えていなかった。
毎日毎日「来るからね」と教えていたのに(驚)。
ボケ具合に波のある父・・・・。
どうやら、この認定調査当日の父は「特にボケている日」だと悟ったわたしには
「要介護認定ほしさ」の打算が働いた(笑)
ここは・・・
調査員さんがやってくるまで、父には余計なことを話しかけずに置こうと決めたのだ。
下手におしゃべりにつきあっていると、だんだんと頭が覚醒してきてしまって
思考がクリアになってきてしまうからだ。
今日だけは・・・あと1時間だけは・・・
このナチュラル・ボケ状態をキープしていただきたい。
うん、これは決して演技ではないし、父のナチュラルな状態だからズルではない、
と自分に言い聞かせて。
そしてしばらくすると、予定通り調査員さんがやってきた。
ナチュラルボケ状態の父は、いい感じに答えを間違えてくれた。
「お名前教えてください」→ アワアワして20秒ほど沈黙で言葉が出てこない。
「今日は何日ですか?」→ 「23日じゃないですかね?」(ホントは19日)
「おとしはおいくつですか?」「24さいになります」
最後の「24歳」にはさすがに吹きそうになった。
ちょっとふざけているんじゃないかとすら思った。
が、何度か聞き方を変えても真顔で「24歳」と答えるので
さすがにこれは・・・と思い、
わたしが横から「おとうさん、年齢を聞かれてるんだよ?」と言っても
しつこく「だから24歳だ」と言い続けた・・・(汗)
5~6回ほど同じ質問をして、ようやく最後には正しい年齢を言えたけれど
このあたりのやりとりを調査員さんがどうとらえたか・・・・?
これ以降、少しずつ覚醒してきたようで、
突拍子もない答えをすることはなかったけれど、
調査員さんの質問の意味が1度でわからなくて、
見当違いのことを言う場面は2~3度あった。
ここ2か月くらいでげっそりとやせ細ってしまった身体の見た目と相まって、
「すっかり弱ってしまっている老人」だったとは思う。
ところで、前回の認定調査と「あれ?違うな?」と思ったことがある。
*起立や歩行動作の確認(実際に歩いて見せたりすること)がなかった
*家事がどのくらいできるかの質問がなかった(掃除・洗濯・食事作り等)
これは少し意外だった。
調査員さんが「起き上ることはできますか?」と聞いたところ、
父が「ちょっとしんどいです」と答えて、
上半身を起こすことすらしなかったせいかもしれない。
なので、歩行テストはなく、
かわりに、ベッドに横たわった状態のまま、手足が動くか?のテストだけで終わった。
「家事ができるかどうか」という生活面についての質問がなかったのは・・・
トイレにしか自分でいけない&病室の外の移動はすべて車椅子・・・等の話から、
家事はできないと判断されたのか???そのあたりはまったく謎。
(まあ聞かれても「できません」って答える予定だったけど)
この調査の時の話を後から相談員Sさんに話すと、
「もしかしたら、区分変更を申請した時点で介護度がある程度進んでいるという判断されたうえでの調査だったかも?」
と言われた。これはもう結果を見るまで分からない話だけど
これで「要支援」ってことにはならない気がするので、おそらく「要介護1」は
もらえるんじゃないかな・・・と算段。
認定調査は、ご存知のとおり・・・本人のいるところでの質問と、
その後に、本人のいないところでの家族からの聞き取り、と2段階ある。
(本人の前では言いにくい話をするため)
調査員さんと2人だけでドアの外で話したときには
「7月にも1度入院されてるんですね?これはどういう理由で?」と聞かれたので、
肺がんの骨転移で麻薬を使っていること、
その薬の管理が自分でできなくなり(←ここはしっかり強調)
飲みすぎて体調不良を起こしたので入院しました、と説明。
以後、服薬管理は家族と看護師さんでやってます。(←ここもしっかり強調)
そして、
本人が問診中に言った「背中の痛み」というのは「骨転移」の痛みなので、
麻薬でコントロールはしていますが、
背中に激痛があるときはあまり動けません(これも事実なのでしっかり伝える)
肺がんは治癒の見込みはないと言われています(ここも忘れずに)
などなど、本人の前では言えない話をきちんと伝えた。
どこかで見た、正誤は未確認の情報だけれど・・・
「要支援」「要介護」の分かれ目というのは、
「リハビリや治療にもよって身体の機能が回復するかどうか?」
も判定基準のひとつになっていて、改善の余地のある人は
「介護状態にならないように予防しましょう」という意味で
「要支援」の判定になるという。
けれど治癒の見込みのない末期がんの場合は、
「近いうちに状態は悪化する」
という体調悪化が(寝たきりになるなど)確実なわけで・・・
それを見越して判定が重めに出ることもあるらしいので、そこに期待したい。
(この話が事実かどうかはわからないし、担当する自治体によって差がある話なので、絶対そう!という話ではありません。そういう説もあるらしい・・・という程度で)
いろいろと調査の手ごたえからすると、
今回はわりと「できません」の回答も多かったし・・・
歩行テストすらなかったことを考えると、
意外と「要介護2」もあり得そうな気がしている。
とはいえ・・・・あまり期待してあとで落胆するのもイヤなので
考えるのはやめておこうと思う。
そんなわけで・・・わたしがひとりで緊張していた認定調査は無事に終わった。
さて、いよいよ退院にむけて、ケアマネさんと打ち合わせである。