思わぬ誤算。

前回の記事を書いた翌朝、

早速、わたしは暫定的にケアマネさんになってもらっていた

居宅介護支援事業所のケアマネTさんに

電話で「要支援になってしまいました」と認定の結果を伝えるとともに

その足でTさんの事務所を訪ねた。

担当を外れることになったからといって

電話一本で「今までありがとうございました」は違うと思ったのもあるし、

同時に、訪問看護との兼ね合いや今後どう動いたらいいのか?を

相談したかったし・・・。

 

介護保険あるある」な話だということは、

自分が当事者になって初めてわかったことだけれど

親の介護認定を受ける立場になると、「介護度が重く出ますように」と

なぜか祈ってしまう傾向にある(汗)

心情的には、「介護度低め」のほうがうれしいはずが、介護度が重めに出たほうが

利用限度額の枠が広がって、さまざまなサービスが受けられるためだ。

 

なので、この日ケアマネTさんと会った時も、Tさんから

「要介護1がついてくれるとよかったんですけどねぇ~」

と言われて、わたしも「ほんとに~」と相槌を打つ、妙な会話が交わされた。

 

ところで、このあとTさんの指摘で驚くべきことが判明してしまった。

なんと、父の介護サービス利用の自己負担額が「3割」だったのだ。

 

 

これも今まで縁がなくて無知だったことだけれど、介護保険って、

保険料がじわじわ上がっているだけでなく、利用する場合の「自己負担額」も

実はじわじわ上がっているのが現状らしい。

もともと一律で「自己負担1割」だったものが

2015年に「現役並みの収入がある人は2割負担ね」

と引き上げられていたとか。(本当に無知ですみません)

 

それがさらに見直されて、

2018年8月から所得に応じて、1割・2割・3割負担・・・と

自己負担額の対象が細分化されたのだそう。

余談になるけれど、2015年、2018年・・・とこんな短期間で自己負担額と枠が

引き上げられているということは、

わたしたちが介護保険を利用する立場になる時代には、

きっと健康保険と同じように、「ほとんどの利用者が3割負担」

という時代になってしまっているに違いないと感じた。

夫婦二人暮らし節約生活してるから大丈夫、と思ってる人は老後は今の生活費より

確実に増えると思っていないと危険だと思う・・・ホント。

 

 

で、話を戻して・・・

そして、父は見事に?「3割負担」の条件をクリアしてしまったらしい・・・。

 

わたしは父の年金収入を正確に把握しているわけではないので

本当にこれには驚きしかなかったけれど

障害者手帳を受け取りに行った時に、たまたま父の前年の「所得」が記載された

書類をを目にして「結構もらってるんだなぁ」だなんて、のんきに思っていた。

 

父の場合は国からもらう年金収入自体がびっくりするほど多いわけではないが、

おそらく、定年まで45年間勤めていた会社の企業年金(終身)が

年収を押し上げてしまってるのだと思う。

 

父はよく自虐的に「貧乏人だ」と自分のことを言っていたけれど

とんでもない話だった・・・。そして

「年金が貯まったら海外旅行へ行く」というのは、本当のことだったのだ。

 

しかし、介護サービスの利用・・・となると

 

これは大誤算。

 

簡単に言うと、父は要支援2と認定されたので

月々104,730円までのサービスが利用できる。

(※この上限を超えた分は全額自己負担になる)

 

世間の大多数の高齢者はこの金額の1割負担するだけでOKなので、

ざっくり月々約1万円を払うだけで、

ヘルパーさんに週1~2きてもらったり、

デイサービスを週1~2利用できるというわけ。

 

ところが父の場合は自己負担3割となってしまったので

当然、この自己負担がざっくりと約3万円になる。

 

人によって感じ方はいろいろだと思うけれど、

父の年金から払うとはいえ・・・

週2回ヘルパーさんにきてもらって

お風呂のお湯を入れてもらったり、部屋の掃除してもらうだけで、
(※お風呂自体は父は自分で入れるので)

月3万円も払うのか・・・と思うと、なんだかものすごく贅沢なお金の使い方に

思えてきてしまう。

なんだか、Tさんと話しているうちに

ヘルパーさんに来てもらう必要、本当にあるんだろうか???と

そのくらいのこと、わたしが頑張れば済むことなのでは・・・?

誰より、父が「そんなことに3万円?」とか言い出しそうでコワイな、などと

と、自分の中で何とも言えない不安というかウツウツとした気持ちが

湧き上がってきてしまっている。

 

いやいやいやいや、そうじゃない。

 

「わたしの負担を少しでも軽くするために介護サービスを利用するんだ」

「わたしの時間を(父の)お金を使うことで確保するんだ」

 

と、自分に言い聞かせてるけど・・・。

こういう性分だから、いろいろと自分で抱え込んで

後からもがくことになってしまうとわかっているのにね。

 

介護って・・・・親の元で動いてる時間だけが介護の時間じゃないということも

ここまで自分が過ごしてきて分かったこと。

介護をする人って、

親のそばでサポートをしていない、自分ひとりの時間ですら、

常に親のことを「どうしたらいいのかな」などと、

考えてしまって、思考から追い出したいのに、ずーっと考えてしまうことが多い。

親のことで頭の中を占領されて、憂鬱になって

ほかのことを楽しめなくなったりとか。

いつもいつもじゃないし、充実感を感じられる日もあるけれど

定期的にわーーーっと、何もかも投げ出したい衝動にかられて、

「もう嫌だ」って逃げたくなる感じにおそわれる。

 

こういうことを書いている、今の自分はまさに

「投げ出したいモード」なわけだけど(笑)

 

要介護者はいつも自分がどうやったら楽な気持ちで過ごせるか?ということと

同時に、親にとっても少しでも現状維持できるように、と思って

あれこれ策を練るのだけど、

親は大抵子供の心がわからないので、同じ方向は向いてくれない。

だからいつもそこでジレンマが生まれると思う。

同じ方向を向いて、言うことを素直に聞いてくれたらどんなに楽だろう。

 

例えば目下わたしは、

ほぼ1日座りっぱなしの父の心肺機能と足腰が弱ることが本当に不安なので

(このままだと本当にいずれ歩けなくなると思う)

まさに「要介護状態にならないために」リハビリデイに通わせたいのだけれど、

父は「必要ない」と、そういう話題になると心を閉じてしまう。

そのくせ、このごろ「背中が痛い」「腰が痛い」と言って

「”目・肩・腰に効く”らしいから、アリナミンEXを買ってきてくれ」

などとふざけたことを言うのだ。

あちこち痛くなってくるのは、1日同じ姿勢でソファに座ってるからだよ、

とこちらが言っても「いやそうじゃない」と耳を傾けない頑固さ・・・。

 

おっと、だんだん愚痴になってきたのでもうやめておきましょう・・・。

  

ともあれ、ケアマネTさんが、今後父がお世話になる地域包括支援センター

新しいケアマネさんに連絡を取ってくれたので、

引継ぎはスムーズに行くことになった。

 

ケアマネTさんには短いお付き合いになってしまったけれど、

本当によく考えていただいて感謝の気持ちでいっぱい。

今後、要介護になったらまたTさんにお世話になると思うけれど、

それは父が今よりもずっと弱った時ということになるから、

そういう日は来ないほうがいいのかな・・・?と思ったり・・・気持ちは複雑だけど。

 

そして今日、さっそく新しいケアマネさんが父の自宅へ来てくれるので

わたしも同席して今後のプランについて話し合いをすることに。

 

新しいケアマネさんも話しやすい人だといいなあと思うけれど

それよりも、周りがどんどん介護計画を立てていくことに

父が不機嫌になったりしないだろうか、とそちらのほうが心配かも。

 

どうなることやら・・・・(ハラハラ)