感情論を持ち込んではいけない話。

JAL旅客機の衝突事故をのあと、twitter(X)やThreads にも、

数多くの「ペットを客室に乗せて」な投稿が流れてきている。

 

気持ちはわかる。

でも、個人的にはこれはダメだと思う。

「ペットも家族」「かわいそう」

そんなことは、誰もがみんな理解しているけれど、

未曾有の事故の際に、そういう感情論を持ち込んではいけない。

 

貨物室に預ける飼い主さんたちも、

預ける際にちゃんと「万が一のときは持ち出せません」という文言の書類に

サインをしているのだ。

それが飛行機に動物を乗せるときのルールだから。

それを、こういう事故が起きたからといって、感情論で捻じ曲げて

ペットを客室に乗せられるようにしたらいいのに・・・とはならない。

中には「高い割増料金がかかってもいいから乗せてほしい」

と投稿している人もいたけれど、そういう問題じゃないのにな・・・って思う。

 

今回の事故がそうであったように

事故があった時には、客室に持ち込んだ手荷物すら何も持たずに手ぶらで

脱出しなければならないのだから、ペットが持ち込み可となったといっても

事故の際は、置いていかなくてはならない。

飼い主の欲目で「でもそんな荷物じゃない」と言いたくもなるかもしれない。

 

たとえばわたしの亡くなった愛犬。

チワワの中でも小さな子だったので、体重は1.7キロだった。

猫よりもずっと小さい犬だった。

だから、ちょっとしたショルダーバッグに収まる。

でも、万が一の事故で脱出・・・となったときに

 

「この子はショルダーバッグに入るくらい小さいから持ち出してもいいだろう」

と言ったらどうなるか?

 

「ちょっと待って!そのバッグが許されるのならわたしのバッグはもっと小さいのだし、一緒に持って行ってもいいわよね?」

 

とほかの乗客たちは思うだろう。そうしたらもう収拾がつかない。

 

また、緊急事態の最中、客室に乗せた犬や猫たちが暴れて鳴き始めたら

乗務員からの重要なアナウンスがかき消されるかもしれない。

 

そして何よりも、バッグやクレートに入った犬猫を抱えて降りるということは

手ぶらで通路を歩くよりも(座席にひっかっかったりするだろう)

時間がかかることになり、その人数が多ければ同乗しているほかの乗客を

危険に晒すことになるのだ。

 

「ペットがかわいそうだから客室へ」と、この問題に感情を持ち込む人は

それが、自分以外の誰かの安全を脅かすということに気づいていない。

 

 

この状況をかわいそうと思う飼い主さんは、

「飛行機にはペットを極力乗せない」

 

という、もうこの一択しか方法がない。

転居やよほどの理由でない限りは、

飛行機は使わずに、ペットの移動には自動車を使う・・・・

または、そもそもペットがいる時点で旅行をあきらめる。

という選択肢を選ぶしかないと思う。

 

そもそも、ペットは自分から飛行機に乗りたがるわけじゃない。

飼い主の都合で飛行機に乗せてるだけ。

気圧の変化もわからない。

それだけで十分すぎるほどにペットにストレスを与えているのに

事故が起こった時だけ、突然「ペットも家族なのに」と

言い出すのは偽善の動物愛護だと思う。

 

 

わたしは愛犬と暮らしていた約16年くらいの間、

一度も家族全員で外泊したことはない。

とてもストレスをうけやすい子だったので、

車移動もとても苦手だったし、ペットホテルに預けるという選択肢もなかった。

大事な”我が子”にストレスをかけたくなかったので

わたしが家から離れないようにした。そんな感じ。

 

ペットと暮らすというのは、

ペットのために何かをあきらめなくてはいけないときもあると思う。

 

きっと反対意見の人もたくさんいるだろうけれど

わたしはそう思う。