老犬介護問題(トイレ問題)

父を見送って、重荷を下ろしたのもつかの間。

このごろ、我が家の愛犬の老いが気になるようになってきてしまった。

 

ペットと住んでいない人にとっては、

この気持ちはなかなか共感してもらいづらいかもしれないけれど

家族同然のペットの老いというのは、

何しろ本人と会話ができないわけで・・・

本当にもう手探りなことばかり。

 

といっても、先に書いておくと

うちの犬は今年で満15歳になる。

とはいえ、まだ何か致命的な病気が判明したとかそういうことではない。

いわゆる人間の家族でも「年取ったよね~」と言いたくなる瞬間があると思うけれど

まさにそういうレベルの話だ。

 

最初の異変は、「トイレを失敗するようになった」こと。

子犬として我が家に来たとき、1日でトイレをマスターして、

その後は下痢など体調の悪いときでも、

けなげにトイレで用を足すくらいに完璧だったので

たとえ1回の失敗でも、わたしには衝撃で・・・・。

それが、1日1回くらいは粗相するようになった。

 

完全にトイレがわからなくなったわけではなく、

1日4~5回くらいのおしっこのうち、

1~2回をトイレではない場所でしてしまう・・・というよくわからない状況。

 

これはもう1度しつけなおしが必要なんだろうか?と

寝起きの犬をトイレに連れて行ったり、

外出から帰ってくると、まずどこかに粗相していないか探してしまったり・・・と

だんだんと犬のトイレ問題はわたしから気持ちの余裕を奪うように。

 

うちの犬は心臓の働きが若干弱っているということで

2年前から毎日投薬をしていて、(見た目はいたって元気だけれど)

その薬を処方してもらうために毎月1度、必ず獣医さんに通っている。

なので、12月に診察を受けた時にそのトイレ問題のことを獣医さんに相談してみた。

 

すると、やはり老犬になるとそういうことはあるらしい。

理由は腎臓など病的な問題だったり、認知症だったり、いろいろらしいけれど。

その動物病院では院長先生が飼っている大型犬2頭が常にいるのだけど、

どちらも老犬だ。

もちろんしっかりトレーニングされている子なのでとてもいい子たち。

ところが獣医さん、

「あの子もたまにジャーーーってやっちゃうようになってきたよ。

大型犬だから、そりゃもう大洪水になって掃除も大変(笑)

こっちの子は、歩きながらウンチをすることもある。年を取ると犬もいろいろあるよ」

とあっけらかんと笑い飛ばしたのだ。

粗相をしてしまうようになったからといって、

特に対策などしていないらしい。

 

なんだか、獣医さんのそのおおらかな受け止め方に、フっと肩の力が抜けた。

わたしはおじいさん犬になったわが子に、

どこまで完璧な犬であることを求めていたのやら。

 

大型犬の粗相と比べたら、小型犬のわが子のそれなんて、

たかが大さじ2~3杯程度のことじゃないか!

何をカリカリしていたんだろう。

 

獣医さんの話を聞く前には、実はこんなものも買っていた。

ペット用おむつの「お試しパック」。

f:id:norako1007:20200111084602j:plain

↑袋がやぶけているのは、試したあとだから(笑)

 

今の時代、ペット介護を支える商品はいろいろ豊富で助かるけれど

それはすべての犬に合うか?はなかなか難しい。

 

試してみた結果・・・・お腹にぐるりと巻くだけのタイプは問題なく装着できたけれど

おしりまで(つまりうんちまで)受け止める全カバータイプのものは

違和感が強いみたいでものすごく嫌がった。

 

とりあえずウンチのほうには問題がないので、お腹にぐるりと巻くタイプだけを

1日装着してみたところ、

「粗相をするかもしれない」という自分の不安は完全になくなり、

これを使うことは、一見するといいことのように思えた。

 

けれど、うちの犬はまだ完全にトイレができなくなったわけではないため・・・

このオムツを装着した状態のまま、自分のトイレで用を足そうとする。

(つまりトイレで用を足すのだけど中身はおむつの中へ・・・)

 

そのけなげな姿が何ともかわいそうだったこと、

そして、今ある程度まだ出来ているトイレで用を足すという行為が、

このおむつ装着による違和感から、逆にできないようになってしまうのでは?という

不安が出てきたりして・・・・

なんだかもうどうしてよいやら・・・・?な気分になっていた。

そんなふうに、気持ちがハッキリしない中で

老犬の失敗を明るく笑い飛ばす獣医さんの言葉を聞き

ハっとさせられたのだ。

 

「完全にトイレができなくなるまでは、自然のままでいこう!

汚れたら拭けばいいじゃん!」

と考え方を改めた。

 

うちの犬の年齢を考えても、

よくてあと2~3年くらいしか残されていないと思う。

それはもう否定のしようのないことだから目をそらしてもしょうがない。

 

人間の老いと同じで、この先「できなくなること」は少しずつ増えてくるだろう。

こんなことくらいで、うろたえていてどうするのか。

 

なんだか急に自分の中で割り切れるようになり、

「なんでもこいや!」くらいな気持ちで開き直るようになったところ

 

因果関係は謎だけれど、そこから約1カ月・・・

驚いたことに粗相がなくなった。

わたしがトイレを失敗しないか?と過敏になっていることが犬に伝わってしまい

それが逆効果だったんだろうか?

そこはわからないけれど、ひとまず平穏を取り戻すことには成功した。

 

でも、おむつはやっぱり近い将来必要になる日が来るんだろう。

 

いやいや、たとえオムツ必須になったとしても

傍にいてくれたらそれでいいじゃないか。

 

うん。