夫が58歳になった。

最近、ついに夫が58歳の誕生日を迎えた。

もう還暦の足音が聞こえるじゃないか。

いつの間にそんなに年を取っていたのか?(自分のことは棚に上げて)

 

けれど毎日バリバリ?働いているし、もちろん夫だけじゃなく

夫より6つ年上の義兄もバリバリ働いている。

今どき珍しい週休1日の会社だ。

零細企業なんてそんなもの。

休みが少ないのは、単純に人手が足らないからだ。

人がいないから、週2日も休んでいたら仕事が回らない・・・・ただそれだけ。

 

けれど、うちの夫くらい無趣味だと、休みがなくても気にならないらしいけど。

たまにニュースで、どこそこの大企業が週休3日制を導入・・・とかって

やっているのを見ると

「週に3日も休んでなにするんだ?」と本気で呆れている笑。

世の中は休みたい人ばかりじゃないのよね・・・実は。

それでもまあ、元気で働いてくれているのはありがたいかぎり。

夫のおかげで、わたしは気ままな専業主婦をさせてもらうことができているのだし。

 

ところで

夫が58歳になるっていうのは、自分の中で結構思うところがある。

 

実は、わたしの父が妻を亡くした年齢だ。

父58歳、母52歳だったから。

 

父は定年を1年繰り上げて59歳で退職したけれど、

その退職の日には母はもういなかった。

退職して、社員さんたちから渡されるであろう花束をもって帰宅するのに

真っ暗で冷え切った自宅に戻ってくるのはさぞ侘しいだろうと思い、

その当時、わたしはまだ幼稚園児だった息子を連れて実家にもどり、

お祝いを用意して「お疲れ様」の声をかけてあげた。

 

今、自分の夫を見ていて思うのだ。

58歳。まだまだ若い。働き盛りって感じだ。

父は、こんなにも若くしてひとりぼっちになってしまったんだな・・・と。

当時は、自分は母の闘病中から、母の死後も、ほぼ週末ごとに

小さな息子を連れて何度も何度も高速道路を飛ばして実家に通っていたので、

自分が大変・・・という気持ちでいっぱいいっぱいで、

あまり父の辛さをわかってあげられていなかったかもしれない。

父に甘えられたり寄りかかれると、息苦しさを感じていた。

 

でも、家事もできない、お金の管理もできない、印鑑もわからない、

そんな58歳のまだまだ若い夫が、突然ひとりぼっちにされてしまい、

そこからなんと20年以上も、ずっとずっとひとりで暮らしてたんだ・・・って

表現のしようのないほどの孤独に違いないって、

「今、夫がわたしに先立たれたら?」と想像して、

初めて当時の父の気持ちがわかる感じ。

 

それでも、父が孤独になってしまわないように、

なんとか自分が出来る範囲で楽しみを作ったり、

元気なときから月に2~3回は通って、話し相手になってあげていたし・・・

自分なりにできることはやったつもり。十分ではなかったかもしれないけれど。

 

ただ、父のことを自分の夫に置き換えると・・・・

夫の元に通ってくれる人はいないだろう。

もちろん、息子は通ってくれると思うけれど、

娘と父親・・・なら、娘の頑張りでなんとかなるけれど、

息子と父親っていうのはね・・・限界がある気がする。

 

何もできない夫、無趣味で、社交的でもなくて、

生活のすべてを妻であるわたしに頼り切っている夫。

そんな夫が、ここから先20年以上も、この家にひとりぼっちになるとか

本当に考えたくないなあ・・・・。

死んでも死にきれない気がする。わたし。

 

そして、ひとりぼっちになった父親を気に掛けなくてはいけないような負担を

息子やお嫁さんに背負わせたくない。

 

なんだかんだ、わたしのほうがたくましいと思うのよね。

お金さえあればひとりで生きていけると思う。

でも夫の場合はお金があってもダメな気がする。

体調が悪くなっても病院に行きたがらないし、

介護サービスだの、デイケア、施設だの、全部拒否して息子を困らせることだろう。

そんな遠い先の問題以前に、

まず真っ先に、自宅が廃墟と化す気がするし(掃除ができないから)。

 

だから、わたしちゃんと健康に留意して

夫を看取るくらいな気持ちで、これからも元気でいないとなあと思う。

 

まあ寿命なんて誰にも分らないけれど。

防ぎようのない病気はいくらでもあるし。

 

でも、父は絶対に寂しかったと思うので、

父のように、定年後の人生がひとりぼっちにならないように

 

がんばらなくちゃなーって思う。