流されてきた自分。

前記事で、息子とお嫁さんが

とてもしっかりとした自分軸を持っているという話を書いた。

 

息子のことは、自分が育ててきたわけなのである程度想定内ではあったけれど

お嫁さんの生活スタイル・考え方・価値観はとてもユニークだ。

マイルールが多く、それをきちんと守って暮らすスタイルで、

54歳のわたしですら尊敬してしまうほどだ。

 

連休中に本人から、また息子から聞かされた話を思い返しては

自分の若い頃とは違いすぎて、爪の垢を煎じたくなる思いである。

 

たとえば、彼女は「ブランド」や「高級品」に全く興味がない。

洋服はユニクロやGUで十分、化粧品もプチプラばかり。

 

「ブランドものを買いたいと思わないし、お金がもったいなくて買えない。

人からブランドものをプレゼントされても、もったいなくてきっと使えずに

しまいこんでしまうから、ブランドものをプレゼントされてもうれしくない」

 

と、息子に言ったらしい。

 

ブランド好きの友達もいるけれど、それを素敵だなーとは思っても、

自分も欲しいとは思わないのだそう。

 

去年、夫婦として迎えた初めてのクリスマスのときには

 

「ふたりともおこづかいが少ないからあんまり高いものは買えないし、

だから予算は2000円にしようねと一緒に決めて、

お互いに2000円以内のプレゼントを選んで交換しようってことにしたんですよ」

 

なんて、かわいいエピソードを話してくれたことも思い出す。

 

昨日の記事でも書いた通り、先に結婚した自分の友達らが家を建てる、

マンションを買う・・・と聞いても

 

「いいなーと思うけれど、自分は賃貸でいいかなって思う」

 

と、影響されることもないらしい。

イカーにしても・・・息子は18歳で免許を取ったときに買ってあげた

中古のコンパクトカーにいまだに乗っているのだけど、

20代後半ともなったら、

それなりのグレードのカッコイイ車に乗りたくなるんじゃ?と思いきや、

彼女は「あと2~3年はがんばれるよね(ニッコリ)」

車の見た目も全く気にしないのだそう。

 

何から何まで・・・・20代の頃の自分とは真逆である。

いつもいつも、ブランドや高級品に憧れ、それを身に着けている自分が

人からどう見られるかを気にしてばかりいた自分と。

 

それはバブルだったからよ・・・・と思われるかもだけど、

わたしの場合はちょっと違う。

実家が裕福ではなかったことは、何度か触れてきたけれど

(大学に行けなかっただけでなく、働いた給料の半分近くを家に入れていたレベル)

子供時代からずーーーっと、「買ってもらえない」とか「親戚のお古」で

育ってきた反動のせいだと思う。

 

おそらくその「みんなと同じものを持ちたい」という思いが満たされることのなかった

子供時代~高校時代の思いを取り戻そうとするように

高卒で就職すると、同僚がしているブランドの話についていけないことが

恥ずかしくて知ったかぶりをしたし、

自分がブランドものを持っていないと「恥ずかしい」と思って背伸びをして

こっそり買ってきたりしていた。

でも、それらの行動は本当に特定のブランドを愛していたわけじゃなくて

ブランド物を持っていないと恥ずかしいという思い・・・それだけだった。

だからたぶん、周りが「ブランドなんてもったいないよね~」という人ばかりだったら

わたしは安心してノーブランドを買っていたはずだ。

そのくらい、自分軸がなかった。

 

結婚するときも、当時は「ホテルウェディング」がうらやましがられる風潮だったので

(少なくとも私の周りでは)

同級生がホテルで結婚式を挙げるのに、自分だけ「ザ・結婚式場」はイヤだと

思ってしまっていた。

新婚旅行はもちろん海外。それも当時まだ日本人があまり行かなかった「フロリダ」

を選んで、友達からうらやましがられ、少しいい気分になっていた。

 

マイホームもそう。

今思えば、そんなに焦って家を建てる必要なんてなかったのに、

当時親しかった友達らが、次々家を建てて招待してくれて・・・・

そういうのを見ているうちに、「早く建てたい・建てなきゃ」と流されていた。

そして、家を建てた友達から「こんなところにこだわった」という自慢話を

聞かされるたびに、「自分もうらやましがられる家を建てたい」と

そこでもドロドロした欲求が止まらずに、

今思えば「こんなものいらなかった」と思うような設備を入れた家を建てて

ずいぶん無駄なローンを組んだと思う。

 

お嫁さんの素敵なところは、友達がいいものを持っていることを素直に

褒めて、うらやましがって、そのうえで「でもわたしはこれでいいんです」と

心から笑えるところ。

 

しかも、彼女は決してケチではない。

「経験と思い出にお金を使いたい」という価値観を持っているので、

好きな人と一緒においしいものを食べる、旅行をする、イベントを大事にする、

・・・という、経験にはお金を惜しまないのだ。

 

まだ20代で、これほど明確に自分軸をもっていて、

お金をかけるべき場所とモノと、必要でないと思うモノ・・・を

明確に判断できている彼女の話を聞きながら、

「周囲から影響されまくり」だった若い自分を思い出しては恥じ入るばかり。

 

20代以降の自分の半生を振り返ってみると、

いつも、どの場面でも

「人からどう見られるか」を気にしていたし、「良く見られたい」が常にあって

なんなら「うらやましがられたい」という、

おそらく成人するまでには満たされることのなかった物質的な豊かさが

承認欲求となって20代以降にマグマのように噴き出していたともいえる気がする。

 

わたしが本当の意味で物欲から解放されたのは、まだほんの10年くらい前のことだ。

お金がなかったときには、ローンを組んで高級化粧品を買うなんて

バカなこともしていたわたしが・・・

 

数十年経って、今やっと・・・・誰かと自分を比べて「同じものを欲しがる」

ということがなくなった。

 

これは性格もあるかもだけど、

なんとなく息子とお嫁さんを見ていると、

「子供時代、物質的に満たされていたからこそ、あまり執着がない」のかなと思える。

 

 

わたしのように「あれも欲しいこれも欲しい。友達がうらやましい」で

常に頭の中がいっぱいだった子供時代を過ごすと

逆に物で満たされることに対する欲求が強くなる・・・・

なあんていうのは、決めつけが過ぎるだろうか・・・?

 

 

とりあえず、遅すぎた感はあるけれど

今じゃすっかり煩悩から解放されて、無駄遣いしない生活しているから

わたしもやっと大人になれたかなと思う。

 

そしてこれからは彼女を見習って、「経験と思い出」にお金を使っていきたい。