体調は安定、でも老人指数上昇。

ひとり暮らしの父の退院後の生活をサポート体制見直しは、

着々と進みつつあるけれど

入院後の父の様子はどんな感じか・・・というと、

主治医が「いつ退院してもいいですよ」と言うくらいなので

「病気」という観点でいえば、安定した状態に戻って来た。

 

でも「すっかり元気になったねえ~!」と言える状態か・・・?といえば

正直、それには程遠い。

昨日の記事の最後に書いた通り、突然今日退院になりそうな流れになったとき

「こんな状態で家に帰るのか?」とわたしの中でものすごい焦りが沸いた。

 

それは「身体能力」と「認知能力」の点で

明らかに入院前の・・・・体調がおかしくなる以前の父から

「老人度」が増したと感じているから。

 

そういう「老人指数」のところは、病気とは別のところにあって

主治医の管轄外だから入退院の判断材料にしないのは当然のことなので・・・・

老人度が増したことが、どれだけ家族にとって心配な点だとしても、

病気が落ち着いてきた以上は退院しなければいけない(汗)

(家族が考える問題になるので、ひとりにさせられないなら施設を考えるしか・・・)

 

具体的には

*動作がものすごく緩慢になり、ゆっくりしか動けない

*歩行がヨロヨロになった(2週間前まではスタスタ歩けた)

*物忘れが恐ろしく進行した

 

・・・というあたり。特に最後の「物忘れ」の進行が著しくて

これ、退院したら元に戻るんだろうか・・・?と、わりと真剣に不安である。

 

もちろん、病院に入院していると

せん妄や物忘れが一時的にひどくなったりすることはわかっているけれど、

そういうケースがある一方で

「老人は入院するたびに入院前よりQOLが一段下がる」という事実もあるわけで・・。

 

父の場合は果たしてどっちなのか?退院してみないとわからない。

しかも、どうやら医療用麻薬で頭がボーっとしてしまう副作用は今も続いている。

(吐き気のほうは耐性ができたのか?治まってきた)

せん妄の症状までにはいたっていないけど、

表情はぼんやりしていることが多くなったし、とにかく記憶力の低下が著しい。

 

まずなんといっても、「薬を飲んだかどうか」を思い出せない。

入院の数日前からそういう状態になり、不安いっぱいだったけれど

入院して、痛み止めの服用管理を看護師さんがしてくれるようになっても、

それは続いている。

わたしが病室を訪ねると、「今日は痛み止め飲んだ?」と聞くのだけど

「のんだかなあ・・・・?」と毎回首をひねる(汗)

 

記憶力がガタっと落ちた

痛みが我慢できなくなるので頓服を服用

薬の副作用で頭がぼんやりして記憶はさらに混乱

薬を飲んだか?わからなくなって、追加で飲んでしまう

飲みすぎで傾眠&せん妄状態へ・・・

 

という悪循環が生まれてしまうのが一番怖いこと。

しかも、記憶力がガクンと下がっていることに加えて、入院中の服薬管理は

すべて看護師さんにお任せ状態・・・になっているため、

家に帰ってから「さあ自分で」と言われてもむしろ難易度が上がる気がする。

(もちろん、2週間前まではできてたことなんだけど・・・)

そこをきちんと管理できないと、また傾眠状態に陥って体調悪化・・・を

繰り返してしまうため、昨日相談に乗ってもらったSさんと話し合い、

「退院前に服薬管理の練習をさせる」ということになったわけ。

そして、病棟担当の薬剤師さんから

こういうものを売店で購入してきてくださいと言われて、すぐさま購入。

 

リヒトラブ おくすりポケット1週間 お薬カレンダー HM592

 

父はガンの痛み止め以外に呼吸器と循環器系の薬も飲んでいるので

1日トータルで約14種類の薬を飲んでいる。むしろ今までよく自分で管理できた

な・・・と褒めてもいいくらいかもしれないけれど

多くの薬は飲み忘れてはいけないし、麻薬系鎮痛剤については飲みすぎがダメ。

1週間分、朝昼夕の薬を毎週わたしがここへセットして、

父はそのポケットから抜いて飲む。

そして

「薬を服用したら、飲んだ証拠として薬の空き袋は捨てずにポケットに戻す」

というルールが決められた。

(自分で飲んだかどうかが分からなくなった時に、空き袋を見たらわかるため)

 

金曜日に退院を伸ばしたのは、

今日明日の2日間で、服薬管理をしっかり自分でできるようにしましょう・・・

というためだ。

 

 

自宅に戻った後は、わたしはもちろん、ヘルパーさん、訪問看護師さんの誰かが

毎日必ず父のところへ行く・・・というスケジューリングにして

この服薬カレンダーポケットを、服薬管理ができているかのチェックにも利用する

・・・という、現状で出来うる万全の体制を作る予定になっている。

 

このあたりの曜日調整は現行から変更が必要なので、

金曜日の担当者会議で話し合うことになっている。

 

そして記憶障害の不安材料はほかにもあって・・・・

 

昨日、Sさんとの話し合いのあとにSさんと一緒に父を訪ねて、

「退院は水曜日じゃなくて金曜日にしましょうね」と説得し、

父も渋々納得してくれた様子で、安堵したのだが・・・

 

それから1時間ほど経つと、父がいきなり

 

「それで、明日の退院は何時ごろになる予定だ?」

 

だなんて聞いてきた・・・。

 

私「明日じゃないよ、退院は金曜日だよ。」

 

父「あれ・・・・?そういう話なのか・・・?今日は何曜日だ?」

 

私「今日はまだ火曜日です。」

 

父「じゃあ・・・・あさって退院か。」

 

私「あさっては木曜日なので、その次ね。
水木金(指を折って数えて見せる)・・・だから、3日後ね。」

 

・・・と、今の父の記憶力はこんな状態。

 

さらに、

 

私「今日先生来たんでしょ?何か言ってた?」

 

父「〇〇先生・・・? 今日来たかなあ・・・?昨日だった気がするが・・・

今日だったかなあ・・・?」

 

という具合。先生と会ったことは覚えているけれど、

それがその日なのか前日なのか?思い出せないようで記憶が混乱していた。

 

これ、退院したら元に戻るんだろうか・・・?

 

・・・と、不安な面も多々あるけれど、その多くは

「とりあえず実際に家に戻ってみないとわからない」ことばかりなので

まあ、頑張るしかない。

 

そういえば、昨日病院の廊下で訪問看護師さんにバッタリ会った。

父の様子がおかしい、とTELをくれた人で、

「入院させていいんだよ」と背中を押してくれた人だ。

 

互いにほぼ同時に気が付いて「ああ・・・・!」とヘンな声を上げて近づき

 

「お父さんその後どう?19日退院って聞いたけど!」

 

と彼女はとても心配してくれ、

わたしもこれまでの経過と訪問看護が増やせることになりそうだという話をした。

 

なんだか、この大きな病院の中で顔見知りが増えてきたなあ・・・と

妙な気分だったけど、父のように一生ものの病気を抱えている以上は、

病院スタッフにそうやって気軽に話せる人が増えるのは

やっぱり心強いことなので、素直にうれしいこと。

 

わたしはたぶん、大丈夫だろう。きっと。

 

みなさんに甘えさせてもらって、この通い介護を

できるところまで続けられるはずだ。