突然の体調悪化。

それは土曜日にさかのぼる話なのけど・・・午前10時ごろ、父を訪ねると

お風呂から上がって間もない様子の父が、シャツとステテコ姿でソファに座っていた。

 

けれど、わたしを見るなり

「お前が来るのを待ってたよ」

と言う。

 

 

「待ってた」と言うだけに、きっと何かあったのだろうと体調を伺うと

前日(金曜日)の夕方から吐き気をもよおし、それがずっと続いているという。

 

 

見ると、驚いたことに台所のシンクに、

少量ではあるけれど嘔吐してあった(汗)

もちろん、後始末もなくそのまま。

いやいや・・・いくらなんでもこんなところに吐いてくれるなよ・・・と

思いつつも、気分が悪いという父に文句は言えないので、

ゴム手袋をして片付ける。

 

その後いろいろ話を聞くも、吐き気と嘔吐の原因がよくわからないし、

話に一貫性がないので、聞いた話を頭の中で組み立てるのが難しい。

この日も、外出の少なくなった父を、

気分転換がてら先週のように父のお気に入りのショッピングセンターへ

買い物へ連れて行ってやるつもりで来たけれど、吐き気が続いているのでは食料品を

買いに行ってもしょうがない・・・と思い、そのことをポロリと漏らすと

なんと、「行きたい行きたい。ぜひ行こう。きっと夜には食べれるから」

と言い出した。

「無理しなくていいよ」と言うのに、「大丈夫だ」と言って聞かない。

 

本人がそう言うのなら・・・と思って、連れていくことにしたのだが

 

父の異変には、スーパーへ到着してから気が付いた。

 

どうもおかしい。あきらかに歩みがノロすぎて。

普段は見た目よりずっとスタスタと歩くのに対して、

(酸素ボンベを引きずってパっと見、重症そうなわりに)

この日はあきらかに超スローなのだ。

スタスタ・・・からは、程遠く「トボトボ」という歩み。

身体全体が重そうで、自分の意識どおりに足が前へ出ない様子。

 

スーパーへ着いて早々に「トイレへ行きたい」というので、

店の入り口のちょうど反対側(一番奥)に見えたトイレを指さして

「あそこだよ」と示すと、父は酸素のカートを引きながらゆっくり歩いて行った。

 

が、それがとんでもなく遅かった。

トイレまでの距離は70mくらいだったんじゃないかと思うけれど、

たったそれだけの距離を歩くのに3分以上はかかっていたと思う。

向かいから歩いて来る人とぶつかったら、

弾みで倒れるんじゃないかというくらい弱々しい歩みなので、

その距離すら一人で歩かせることに不安を感じたため、後ろからついていったほど。

 

本人、買い物の意欲だけはあるけれど、

これはとても週末で混雑する店内歩く状態ではないと思い、

トイレから出てきた父に

「ものすごく体調悪そうだよ?今日はやめておこうよ。車でまってて。
わたしがひとりでパパっと買い物してくるから」

と説得するわたし。

父もさすがに歩いてみて・・・自分で身体が重い自覚があったのか、

「わかった。そうするよ」と、素直にカギを受け取りそのまま車へと戻っていった。

片道7キロかけて、トイレを借りに来ただけような形になってしまった。

 

こんなふうに弱々しくなる姿は「肺炎」のたびに何度も見て来たけれど、

今回は「息苦しさ」はない様子なので肺炎ではないと思った。

 

以前は、肺炎だけを心配していればよかったけれど、

今はガンの影響だろうか?痛み止めの影響だろうか?それとも肺炎?・・・と

考えられる原因がありすぎて、どのタイミングで病院に連れていくか迷う。

 

今回については、父は「食欲がない」とはいうものの、

ひとりでお風呂に入る元気はあったり、

ペラペラとよくしゃべる元気はあったり・・・と、これまたわかりづらい。

 

とりあえず、何も食べていなくて力がでない・・・と言うので、

ウィダーインゼリーを、「飲めるだけでいいから」と渡して飲ませ、

本人がニコニコと「大丈夫だから帰っていいよ」と言うので・・・

土曜日はそのまま帰ってくることにした。

 

 

 

しかし、こういう微妙な体調なときほど、

父と別れた後にあれこれ考えてしまってダメ。

あのあとどうなっただろう?もう気分は良くなっただろうか?と。

それで、土曜日の夜に一度LINEを入れて様子を聞いてみたのだけど、

いつまで待っても既読にならない。

 

父は普段、スマホを長財布の中に入れているので、

LINEへの返事が遅れることが多いため、それかもしれないと思って翌日まで待った。

 

けれど、日曜日の朝になっても既読がつかない。

もう一度「大丈夫?」と送ったが、それもまた午後になっても既読がつかなかった。

 

そんなに気になるなら様子を見に行けばいいのに・・・と

読んでいる方は思ったかもしれないけれど、実はこの日は義両親の用事で

夫に車を貸すことになっていたため、足がなかったのだ。

 

これだけ既読がつかないのはおかしい・・・と思い、

夜になって、今度は電話を入れてみたが、これにも応答がない。

 

不安ばかりが増幅するのだけど、

冷静に考えると・・・・

この日の昼と夜の配食サービスは本人が受け取っているはずだった。

配食サービスは見守りも兼ねているので、

応答がない場合、緊急連絡先になっているわたしへ連絡が入ることになっている。

それがない・・・ということは、

ちゃんと弁当は受け取っているわけだ。

・・・ということは、家の中で倒れている・・・などという心配はないはず。

あくまで電話が鳴っていることに気が付かないのだろう。

 

しかも、やっかいなことに・・・

父は自宅にかかってくる電話を携帯へと転送設定しているので、

携帯に出ないなら家電話にかけてみる・・・という選択肢がなかった。

(これは今まで外出が多かったからそうしていたわけなので、

今後は転送解除させるべきだな・・・と思う)

 

こういう状態だと、どんどん悪い想像ばかり膨らんでしまう。

 

健常であれば、突然の吐き気も「何か悪いもの食べたのでは?」くらいに

深く考えなかっただろうけれど、今は原因になりそうなものが多すぎるし

吐き気だけでなく、あのショッピングセンターでの

足元おぼつかないフラフラぶりも不安を大きくする材料になっていた。

 

最初は、麻酔系のオキノームの副作用じゃないだろうか?と思ったのだけど

考えているうちに、もしかしたら「脳転移」の症状じゃないのか?と

不安になってくる。

 

「肺がん 脳転移」

「脳転移 吐き気 症状」

 

などと、キーワード検索を夜遅くまでしてしまっていた。

肺がんや乳がんは、臓器の位置が他に比べて脳に近いため、

脳転移する確率がかなり高いのだそう。

すでにガンが骨に転移している父なので、

全身のどこにがん細胞が飛んでいてもおかしくない。

「脳転移」はわたしが一番恐れていることでもあるので、余計に怖いのだ。

(認知機能障害や、麻痺など・・・一人暮らしが難しくなる不安)

 

その後・・・夫が夜、帰宅した(車が戻って来た)あとに、

父の様子を見に行こうか・・・と

考えたけれど、冷静になって思いとどまった。

 

*配食弁当は受け取っているので動けない状態じゃない

*わたしが行ったからといって、何かできるわけじゃない

*救急で受診させるべきか?・・・・でも、目立った症状は吐き気だけだし。

 

・・・と、そうやって頭の中を整理したからだった。

特に病院の受診については、

 

「吐き気だけで、救急外来へ行くってどうなのか?

明日(月曜日)はちょうど主治医の先生の外来の日なのだから、

当直の知らない(父の経過もよく知らない)先生に診てもらうより、

ここは一晩待って、明日の朝イチで主治医の診察を受けるほうが適切じゃないか?」

 

・・・と思い、とにかく翌日(今日)まで待って動こう、と決めた。

 

 

長くなるので、つづきはまた後ほど。