理想と現実。

(つづきです)

 

もっと文章を簡潔にできたら・・・・と、

短い文章でもしっかり言いたいことが伝わってくる他の方のブログを見るたびに

ハ~っとため息が出ますが、本当にわたしってば要約するのがヘタクソで

いつもだらだら長くなってしまって申し訳ないです(汗)

せめて、読む人ができるだけストレスを感じなくサクサク読めるように~~~と

努力はしているつもりなのだけど、さてどう映ってるのか(怖い)わからないまま

続きのお話です。

 

 

受付では

「今日は〇〇先生は予約患者さんを診ていますので、
かなりお待ちいただくことになると思いますが・・・」

と言われたものの

その後・・・主治医が気を使ってくれたのか?

なぜか予約外にも関わらず、30分ほど待たされただけで診察室へ呼ばれた。

主治医が「体調不良で受診してきたのだろうから早めに」と

判断してくれたのだとしたらうれしい。

 

わたしの心配をよそに・・・

主治医の見解は、

 

「タイミング的に見ても・・・一番可能性が高いのは、
おそらく痛み止めの副作用だと思いますよ。」

 

という診断だった。

 

この麻薬系の痛み止めは、服用し始めにさまざまな副作用が出るのだけど、

大抵の場合、1~2週間で副作用に対する耐性がつくのだそう。

(そういう性質の薬なんだとか)

なので、しばらくすると不快な症状は感じなくなるのが一般的。

ところが、いったん耐性ができても、

痛み止めの量を増量すると、また同じように吐き気などの

副作用が強く出るのだという説明だった。

(そしてまたしばらくすると落ち着くんだって)

 

父は1週間前に受診したとき、痛み止めの量をベース(朝晩2回飲む)と

レスキュー(頓服)の両方を増量している。

それらの状況から、副作用というのが一番可能性が高い…という診断だった。

 

ちなみに、帰宅後に1日の用量を足し算してみたら・・・

 

増量前=朝夕(5mg×2回)+頓服(2.5mg×3回)=17.5mg

増量後=朝夕(10mg×2回)+頓服(5mg×2回)=30mg

 

だった。こうしてみると確かにかなりの増量だったことがわかる。

だって朝晩2回のベースだけで倍なわけだものね。

 

主治医の言うには

「症状をなくすには、減薬が一番早いのだけど、せっかく痛みのほうがコントロールできているので、減薬はしないほうがいいです。もうしばらくしたら耐性がついて
症状は軽くなると思うので、吐き気止めを飲んでもう少し頑張ってみてください。」

 

とのことだった。

 

わたしは「脳転移」について聞きたかったけれど、

やはりそのキーワードを出す勇気ななく・・・

ただ、

「記憶のほうがちょっとおかしかったり、会話がかみ合わないこともあるのですが」

とだけ、精いっぱい伝えてみたが、

そういう記憶障害も、副作用としてあるのだそう。

 

めまいやふらつき、頭がボーっとする、傾眠傾向(やたら眠くなる)

そして、せん妄の症状も・・・出てくる頻度の高い副作用だという説明だった。

 

専門医の言うことなのだから・・・

素人がネットで調べた知識でどれだけ疑ったってしょうがない。

父の場合は「治療」が目的ではないので、即検査・・・とはならないのだろう。

実際、「脳転移」だったとして・・・じゃあ何かするんですか?といったら

出来ることは結局「目の前の困っている症状を抑える」ことだけだし。

 

だから主治医としても、知識と経験から・・・一番可能性の高い原因を

ひとつずつ探っていく形になるのだろうな・・・と、このときの説明には納得した。

 

 

「最初の2週間大丈夫そうだったから、吐き気止めの処方ももう必要ないかと

思ってやめてしまってたけど、増量したら(副作用が)出ちゃった感じだね。

もう一度、吐き気止めを出しておきますね。」

 

先生の口から「脳転移」を疑う話は一切出なかった。

「脳転移」に言及する話が出なかった・・・というのは、

この状況ではむしろよかった・・・と思うべき話だったはずなのに、

副作用でしょう、と言われてホッとしたのは一瞬で・・・

頭の中のモヤモヤは取れなかった。

 

わたしたぶん、先生から

「では、どういう症状が出てきたら、脳転移を疑ったほうがいいのか?」

みたいな具体的な説明を聞きたかったのだと思う。

やっぱり「頭痛」なんかが目安になるのかな。

まあ・・・そうはいっても、結局父の前でそれは聞けない話なのだけど。

 

 金曜日から月曜日まで・・・

ずっと父の状態がどうなっているか?ばかり気になって不安でたまらなかった。

 

父がガンであることや、余命が1年前後であろうという状況にあること自体は

理解して受け入れているのでそこに対する動揺はない。

自分が一番怖いのは、

「この先どんなふうに悪くなっていくのか?」

「わたしはどうやってサポートしたらいいのか?できるのか?」

という、先の展開が分からないことに対する不安と、

何より、

「具合の悪い父を一人にしておくことに対する不安」

だと、今回よくよく分かった。

 

痛み止めの処方が始まって、

少しの期間・・・

なんとなく目の前の不安が解消されたような気になっていたのが

一気に現実に引き戻された気分だ。

 

正直、この日主治医が「ちょっと落ち着くまで入院しましょうか」とでも

言ってくれないか?と願っている自分がいた。

もちろん、そこまでの深刻さでないのはわかっていたけれど、

入院してくれたら、どれだけ気持ちが楽になって、ホっとできるだろう・・・って

思ってしまっていた。最悪な娘だと思うけど。

 

この先、病気が進行した場合でも、父は絶対に緩和ケアへの入院を拒むと思う。

わたしも、出来る限り希望に沿ってあげるべきだろうか・・・?と、

心情的には父の「理想の最期」という美学に沿ってあげたい気持ちだったけれど

 

たったこれだけのことで、これほど気が滅入って不安で、

自分のほうが胃が痛くなり何も食べられなくなる状態なのに、

在宅看護なんて絶対に無理だと確信した。

これがわたしたち親子にとっての「現実」だと。

 

わたしには、体力的にも、

また、無理に父に合わせているだけで本当はそこまでの愛情がない自分に

父の家に泊まり込んで24時間親身に面倒を見る・・・なんて無理なこと

思い知らされた。

理想は理想として、自分のキャパシティで出来うる範囲の「現実」を考えなければ。

 

少なくとも自分にとっては、完全看護に勝る安心感はないと再確認した日だった。

 

だから、それを考えなければいけない状態になったときには、

父にはハッキリ「わたしには在宅で面倒を見る自信がない」と伝えようと思う。

酷だけれど、そうやってハッキリ言わないと・・・

父は自分の願いは、何でも娘が叶えてくれる、やってくれる・・・と

思い込んでいる人だから・・・。

 

 

・・・というわけで、これが金曜日~月曜日までの出来事。

 

幸い、吐き気止めの効果で、強い吐き気は治まった様子だけれど

食欲は相変わらずなく、あまり食事が摂れていない。

もともと痩せている父なので、体力がかなり落ちている。

こんな満足に食べられない、体力のない状況で・・・

現時点では、とてもじゃないけれど、

来週に迫った相撲観戦なんて無理だろう。

 

歩きがヨボヨボしていることもそうだけれど、

升席での観戦っていうのは、健常の人でもとてつもなく疲れる。

ペラペラの座布団はお尻の保護にならないし、背もたれもないので

なんとか耐えられる姿勢を探して2~3時間座り続ける感じ。

そこへ名古屋場所は「暑さ」が加わるので、

本人は絶対に認めないだろうけど、

今の父に、相撲を楽しめるだけの体力があるとは到底思えない。

 

ただし、本人は「這ってでも行く」と言っていて

次の頭の痛い問題になりつつあります・・・。