痛みに閉じ込められて。

昨日の朝の話のつづきです。

 

父はちゃんと生きていた(安堵)。

息をしているとわかった瞬間は、「なあんだ脅かさないでよー」とホッとしたものの、

冷静に考えたら、いつもならとっくに目覚めているはずの朝8時半に、

そんな薄暗い寝室でまだ寝ている・・・というのは、

十分に「様子がおかしい」も状態だと気づいたわたし。

 

「どうしたの?体調悪いの?」と、父に尋ねると

 

父は、薄くなった頭髪を、鳥のヒナのようにふわふわ毛羽立たせ、

両手を頭の横に上げた、バンザイの体勢そのままに、

 

「背中が痛くて・・・」

 

と力なく訴えた。

 

ふすまを開けた瞬間にはホラーでしかなかったその姿は、目を覚ました今となると

なんだかとってもシュールである。

 

「背中の痛み」というのは去年の12月ごろからずっと訴えていた、

ほぼ慢性化している痛みのこと。

1か月ほど前に、自分で整形外科へ行って注射を打ってもらったら

「楽になった」というくらい回復していたはずなのに、

 

norako-hideaway.hatenablog.com

 

実は最近また痛みが復活してきた・・・と言っていたのだ。

 

ベッドの上であおむけの状態のまま、父が言うには

「実は火曜日に自分でまた整形に行って、注射を打ってもらってきた。

その日と昨日の昼間はよかったが、昨日の夜になったら突然痛みがひどくなり、

背中全体が痛くて痛くて眠れなかった。」

 

・・・ということだった。特に背中がベッドに触れると痛いので、仰向けに眠れず

うつ伏せの状態で唸っていた・・・と。(でも朝は思い切り仰向けで寝てましたが)

 

8時半になっても眠っていたのは、痛みで深夜まで眠れなかったのが理由の様子。

そして、頭と足の位置が完全に逆になって寝ていることに

本人は気づいていなかった(笑)

「痛くて動けない」と言ってたけど、どうやって180度回転したのだろう?

 

問題はまだ激痛が続いている、と本人が訴えることだった。

こんな状態を放っておくわけにはいかないので、

「もう一度整形に行ってみたら?痛み止めが効かないなら薬変えてもらったほうがいいし。」

と、わたしが言うも

「痛いから動きたくない。シップ貼ってくれたら治ると思う。心配いらないよ。
帰っていいよ。」

などと、どこからどう見てもヨレヨレの姿の時に限って、変に強がってみせる父。

病院へ行くことを拒む父。

 

父のこういう思考は本当に理解できなくて困る。

「動けないくらい痛い=病院へ行くべき」だと、何度言ったら・・・・・(汗)

 

整形へ行ったほうがいい、行くべきだと説得していると今度は何を思ったか

「お前の腰の手術をした〇〇病院の先生に診てもらったら治るんじゃないか?」

と、突然言い出した。

 

いやいや、医者には行ったほうがいいが、どうしてそこまで飛躍するのか。

 

「それはやめたほうがいいよ。あんな大病院に予約なしで行ったら
1日待たされるよ?それでレントゲン撮って湿布だされて終わりだよ?
それよりいつも行ってる整形外科で注射打ってもらうほうがいいって!」

 

と説得して、わたしが手術を受けた大病院へ行くことはあきらめさせた。

別にウソでもなんでもなく、本当のことだ。

連れて行けば父は自己満足するのかもしれないけれど、

大病院の整形は大抵が「手術」前提だから、開業医から紹介されていくべきところ。

(そこを理解せずにいきなりやってきて「大病院でも湿布出されて終わり」と
診察に文句言う人もいるけど、そもそも大病院の整形って単なる腰痛でいくようなとこじゃないよ・・・)

 

とりあえず「大病院」へ行けば治るんじゃ・・・?

精密検査で、これまで見逃されていた重大な病気が見つかるんじゃ?

・・・と父は過大な期待を持っているようだけど、

父の場合はすでに肺に重大な病気をいくつも抱えているわけで、それ以上に重大な

病気が見つかるなんてことはないはずなのだ。

 

ともあれ、30分くらいああでもないこうでもない、と父を説得して・・・・

ようやくいつもの整形外科へ行くことに同意させた。やれやれ。

 

 

でも、整形外科へ行く車内でも、整形外科へ着いてからも、

わたしの頭の中は、あることでいっぱいだった。

 

そう、整形の先生からは「背中の捻挫」と言われ、

呼吸器の主治医からは「筋肉痛でしょう」と言われてしまっているけれど、

わたしはひとりずーーーーっと、

 

「その痛みは肺がんから来る痛みじゃないのか?」

 

という疑いをこれまでも持ってきた。

 

これは父が背中の痛みを訴えるようになってからずーっと思っていること。

 

だから、昨日父を診察してくれた(わたしは初対面)、とてもガタイのいい

まるでラーメン屋の店主のようなチャキチャキした明るいノリの整形外科の先生が

「え?痛みが悪化したのか?効かんかったか?そりゃ悪かったな~。

ごめんな~ごめんごめん。

よっしゃ~~、じゃあ薬をちょっと考えなおすからな。待っててくれなっ!

あと今日は注射に点滴も追加してみるから。」

と、父の痛みをなんとか取ってやろうと治療を見直してくれている横で
(↑この先生は医者というより整骨院の整体師にいそうなタイプでw
本当に明るくて親身な先生だった)

 

わたしは

(こんなにいい先生なのに申し訳ない・・・。

先生、わたしね、この痛みはたぶん肺がんのせいだと思うんですよ・・・。

だから薬が効かないんじゃないかと思うんですよ。

父の前だから言えないんですけどね・・・。)

 

だなんて、救いのないことをひとり考えていた。

 

その後、もう一度背中にぶすりと直接注射を打ってもらい、今回は点滴治療もプラス、

夜眠れるように、薬も増やしてくれた(症状によって増やしていい薬なんだそう)。

 

 

「痛みの原因はガンじゃないの?」というのは、もちろんド素人の憶測にすぎない。

でも、がんが2年前から大きくなっているのは3月の検診であきらかだった。

背中の右側の痛み=右肺・背中側の下部にあるガン(・・・にまず間違いない影)

素人考えでは「場所がぴったりじゃないか」と思えてならなくて。

 

ところが、わたしの素人目線は主治医からすでに完璧に否定されてしまっている。

「この腫瘍の位置なら、痛みが出るならもっと腰のほうに出ますから。

肩甲骨の痛みといったら、ちょっと上過ぎます。

だから背中の痛みは腫瘍とは関係ないでしょう。ただの筋肉痛でしょう(笑)」

とね。

 

norako-hideaway.hatenablog.com

 

素人のわたしは「そうなんですか」と主治医の診断を受け入れるしかないのが現状だ。

 

でも・・・・背中の筋肉痛だか、神経痛だか・・・で

夜も眠れないほど、朝起き上がれないほどの痛みに

そんなに長期間襲われるなんてこと・・・あるの?

 ぴったりと腫瘍のある場所に一致しないとしても

ほら「骨転移」するっていうじゃないですか?遠隔転移っていうのもあるんですよね?

などと、その場ではいろいろ聞きたいことがあったけれど、

メンタルの弱い父の目の前で「転移」「ガンの痛み」「大きくなってる」

だとか、とてもじゃないけれど口にすることができなかったのだ。

 

 

父親本人は、この若い呼吸器の主治医のことを気に入っているけれど

わたしのほうは・・・こういう診察のモヤモヤも手伝って、

じわりじわりと主治医への不信感が積みあがりつつある。

 

考えすぎかもしれないけれど、これ以上の精密検査や積極的治療ができない身体なのに

主治医としては、「痛みをどうにかしてください」と言われても困るので

腫瘍の状態や今後の展開についての話を避けたいのかな?と感じるのだ。

だから

「(腫瘍は大きくなってるけど)まあ今元気そうなのだから、それが一番ですよ。」

という耳障りのいい言葉で濁されてしまうんだろうなあ・・・と。

 

そりゃあ、がんの精密検査や治療をする気はないけれど、

そもそもそれは肺に針1本すら刺せない状態だと最初に言われたからであって

「治療ができるのにしない」のではない。

だから、がんが原因で痛みが出ているなら疼痛治療はしてもらいたいのに・・・。

でも、その痛みが「がんが原因」かどうかすら疑ったり、検証してはくれず

「それは筋肉痛でしょう」と主治医から言われてしまっては、

もうどうすることもできないじゃん・・・というね。

 

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実は、ゆうべこの記事を書きながら、

この先の文章にああでもないこうでもない・・・と、

にっちもさっちもいかない感情を書き綴っていたのだけれど、

今朝目が覚めた瞬間に、なにかひとつスパンッ!と心の中で断ち切る思いがあったので

一旦下書きした、この先のウダウダした文章は全部削除しました(笑)

 

なのでここから先は書き直すので、続きはまた次回に。