本人の気が済むようにと思うものの。

兄弟に対してある種の心の決別を決めたあと、

意外にも気持ちはサバサバとしたものだったのだけど、

わたしの平穏は長く続かないようにできているのだろうか? 

みんな・・・・ブログで発信したりしないだけで、

どこの老親も、こんなふうに日常的に子を悩ませているのだろうか?

 

どうしてこんなにも、次から次へとわたしの父は頭を悩ませてくるのだろう?

 

今日も今日とてゲンナリである。

 

今朝もまた父を訪ねた。

そして、今朝もまた、酸素のチューブは床に転がっていた。

あ~そうかいそうかい・・・と、見て見ぬふりに徹するわたし。

もうこの部分には目をつむろうと努力しているから。

 

父はテレビをつけっぱなしのままにソファでうとうととうたた寝をしていたが、

わたしがゴミを集めて片付けたり買い物してきたものを

冷蔵庫に入れるなどしている物音で、目を覚ました。

 

父がそんな私の様子をジーーーーーーッと凝視している。

わたしが家にきてそうやって作業をしていると、

父はいつもジーーーーッと何も言わずにわたしをずっと見ていたりするのだけど

正直、その視線をいつもいつもイヤだと思っていた。

「ジロジロ見ないで」という気分。

 

酸素を吸っていないことに対するイラ立ちも多少手伝って

父のほうに視線を配り

「なに?」

とわたしは言った。

 

すると父がソファにだらしなくもたれたまま言う。

 

「眠れないんだ。」

 

ああ・・・・まただ。

父はこうして「夜眠れない」ということをよく訴える。

 

私「昼間寝てばかりいるからじゃないの?」

 

父「そうじゃない。昼間も眠れない。夜も眠れない。」

 

私「それは・・・・背中が痛くて眠れないという意味?」

 

父「そう。背中が痛い。眠れない。」

 

はあ・・・そういうことか。

でも痛くて眠れないのは当然である。

なぜなら最後に注射を打ったのは6月1日。

あれからもう10日以上経っている。

せっかく5月の連休明けからは週1痛み止めの注射を打つことで

コントロールしていこう・・・とわたしは考えていたのに、

わたしは先週土曜日に「今週も注射に行こう」と言ったのに、

父は自分で拒否したのだ。

 

私「痛いの?じゃあ注射に行こうよ。」

 

父「いや、行かなくていい。」

 

私「だって、痛いんでしょ?行ったほうがいいって。」

 

父「行かなくていいって言ってるだろう。」

(キレかかる)

 

私「まあ・・・・。いいならいいけど(よくない)。」

 

本当にこういう不毛な会話が一番キツい。

痛い、つらい、と訴えてくるけれど医者には行かないと強情を張られるのが。

ところが、今回のはいつものはちょっと様子が違った。

 

父「あのA整形の先生はヤブだから。」

 

私「そんなことないと思うけど。いい先生だし、注射で痛みは治まるじゃない?」

 

父「いや、絶対にヤブだ。半年もこの痛みが続いているのに、
まだ治せないなんてヤブとしか言えないだろう?
痛み止めなんて対処療法なんだから意味がない。」

 

???

 

ど、どうしたのだ・・・・いきなり?

父は今頃何を言い出すのか。

父は認知症ではないはず。けれど、この言葉は明らかに前回の定期検診での

呼吸器の主治医から言われた話が頭から抜けている感じ。

 

norako-hideaway.hatenablog.com

 

 このときに

主治医から

「痛みはガンが原因の可能性が高いです」

「どうせ対処療法しかできないで整形での注射を続けてもらっていいです」

・・・と、言われていたじゃないか。

 

父はその部分の記憶が飛んでいるのだろうか?

それとも、ガンが原因ではないはず、と思いたい気持ちからの

現実逃避の思考なのだろうか?

 

実際、眠れないほど痛む・・・という現状は、

ますますガン性疼痛の確率が高くなったとみるほうが自然なわけで・・・

ガンの痛みを治せないからとヤブ医者呼ばわりされる整形の先生は

とんだとばっちりで申し訳ない気持ちだ。

 

(この間、呼吸器の先生から”それはガンの痛みでしょう”って言われたじゃない。

だから治療法はないし、

対処療法で痛みを抑えるしか方法はないって言われたじゃない。忘れちゃったの?)

 

・・・・と、言いたかった。でも言えなかった。

言うかどうか迷いに迷ったけれど

この状況で、「ガンの痛み」「治療はできない」なんて絶望的なワードを

父に再認識させる勇気はどこにもなかった。

 

わたしが父の言葉にどう返したらいいかどうか戸惑っていると

父はさらにとんでもないことを言いだした。

 

「実はな、昨日来た看護師さんにこの話をしたら、

呼吸器の先生に紹介状を書いてもらって、

別の評判のいい整形外科へ行ってみるという手もあると言われてな。」

 

はあ?

 

今までお世話になって来た訪問看護師さんには申し訳ないけれど、

この話を聞いて、

 

なんてよけいなことを言ってくれたんだ!

 

と思ってしまった。

整形外科への紹介状を書いてもらったら?だなんて・・・。

昨日来たという看護師さん(看護師さんは毎回違う人がローテーションで来る)には、

その背中の痛みがガン性疼痛だという話が伝わっていないんじゃないだろうか?

先月の診察時に訪問看護ステーションの主任さんにはちゃんと伝えたんだけどなあ。

 

確定診断ではないから情報として共有してもらえてないのかなあ。

うーん、とてもモヤモヤする。

 

その上

 

父「看護師さんが言ってたよ。主治医の紹介状を持って行くと、心象がいいから

親身に診察もしてもらえるんだそうだ。」

 

なんてことまで言いだした。

本当に看護師さんがそんなこと言ったのだろうか?

近いことは言ったかもしれないけど、おそらく父が話を脚色している気がする・・・。

 

父「だから俺は決めた。来週の検診のときに〇〇先生(呼吸器)に

頼んで、ヤブ医者じゃない優秀な整形外科への紹介状を書いてもらうことにした。」

 

父はこれまでも何度もわたしに、

背中の痛みを大学病院か、わたしが手術を受けた大病院で診てもらいたい・・・と

言っていた。

そのたびにわたしは、

「大病院は紹介状がないと1日待たされるんだよ」

「どこへ行っても検査することは同じなんだよ」

「1日待たされても湿布処方されて終わりだよ」

・・・と、あきらめさせてきたのに、

 

訪問看護師さんの言葉で、もう私の説得は効かない状態になってしまった。

 

それは間違いなくガンの痛みなのだから・・・

たとえ日本で一番優秀な整形外科の先生に診てもらったとしても

その背中の痛みは治らないんだよ・・・?治せるわけがないんだよ?

 

・・・という現実を父に分からせたいのに、

父を傷つけないように、

「ガン」という言葉を避けて説明できる言葉が見つからない。

 

いつものように

 

私「手術を必要とするケースでなければ、整形外科なんてどこも同じだよ?」

 

と言うのが精いっぱいだった。

その言葉を聞いて父は

 

父「お前はこの痛みを経験していないからそんなことが言えるんだ!」

 

とついにキレた。

 

 

痛みのせいでイライラしているのがすごくわかる。わかるんだけど・・・

 

私「だったらとりあえず注射に行こうよ・・・?」

 

と言えば

 

父「必要ないと言ってるだろうが。あのヤブ医者にはもう行く気はない。」

 

ってもうううう・・・・。どうしようもない。

父はとにかく来週の定期検診のときに

呼吸器の主治医に紹介状を書いてくれと頼むことを決めたという。

そこで主治医の意見を聞いてそれに従う・・・と。

 

わたしが今この場でごちゃごちゃと事実をつきつけても

たぶん父は一切聞く耳持たないだろう。言っても無駄だろうなと思った。

 

来週の検診では

「ガン性の痛みだから治せない。対処療法しかないですよ」という現状を

主治医の口から来週もう一度聞くことになるのだと思うし、

それが一番いいと思った。

 

わたしとしては、これはいい機会だし

呼吸器の主治医自身に、強めの痛み止めを処方してもらうとか

痛み緩和の対処法を考えてもらえないか・・・ということを

さりげなく(余計な口出しをするな、と父を怒らせない程度に)

頼んでみようと思っている。

  

 

こんな・・・一連の 父との会話に疲れてしまったわたしは

早くその場を離れたくてたまらなかったので

 

「あ、そうそう、今週土曜日は用事があって来れないから」

 

と、とっさに父にウソをついてしまった。

 

本当は、父からの「背中が痛くて痛くて・・・」の訴えを

聞かされることから逃げたかっただけ。

来週月曜日に定期検診なのだし、土曜日スキップしてもいいよね?と

自分に言い訳しながら。

 

 

でも・・・・それでよかったのか・・・?

土曜日にもっと痛みが悪化していたらどうする?

 

夜眠れないほど痛いと言ってるのだから・・・・

もう一度行って、もっと強く「注射に行こう」と説得するべき?

痛みがひどくなっていないか、様子を見に行くべき?

 

でも、行ったところで何かできるわけじゃないし・・・。

 

うーん。

どうしたらいいのか正解が見つからない。

 

兄弟に相談出来たら、きっと楽だったなあ。

(答えはいつでも「ほっとけばいいんじゃない?」とだと決まってるから聞く気も起らない)

 

本人の気が済むようにさせてみるしかないよね・・・?