どこを見て世話をしているのか。

今週は散々な1週間だ。

月曜日、月に1度の父の定期検診に付き添ったのだけど、

病院へ向かう途中の車内で、酸素ボンベから謎のエラー音が発生。

父は「うっとーしい音だな」などとのんきなことを言っていたが、

病院に着いてから、看護師さんに酸素飽和濃度を計測してもらうと、

なんと85しかなかった。(←※普通の人であれば入院レベル)

エラー音は異常を知らせる合図。

どうやら酸素がきちんと放出されておらず、全く吸えていない状態だった。

大慌てで、看護師さんが急きょ、病院の酸素ボンベを持ってきてくれて、

とりあえず酸素を確保。

その後、酸素の業者さんに電話で問い合わせたら、

おそらく同調器の電池がないのでは?と指摘されて、

今度はわたしが売店へ電池を買いに走った。

結果、業者さんが言ったとおり、

同調器(※酸素ボンベにに取り付けて、呼吸に合わせて酸素を放出させるようにする装置のこと)

の電池切れが原因で、故障ではなかったからよかったものの、そうでなければ

病院のボンベを借りて(そもそも借りられるものなのか?)家まで帰って、

またボンベだけをわたしが病院へ返却に行く・・・なんて

面倒なことになっていたかもしれなかった。

 

しかし、酸素ボンベを使ってもう半年にもなるのに、

これまで電池切れはなかったのか?と父に聞くと、これまでは業者さんがタイミングを

見計らって電池交換をしていてくれたので、自分で交換したことがなかったらしい。

なので「エラー音=電池切れ」ということもわからなかったということだった。

 

今回はたまたま病院でこういうことになったからよかったものの・・・

普通の外出でこんなことが起こると大変なので、

これは常に電池の予備を持ち歩かないといけないね、ということになった。

 

そんなドタバタがあった定期検診からの今日、木曜日。

朝、父を訪ねると何やら顔が赤い。

まさか熱でもあるんだろうか?と思い、「大丈夫?」と声をかけると

 

父「実は3日前からじんましんが出ててなあ・・・」

 

と顔周りを手でボリボリ掻きむしりながら答えた。

顔が赤かったのは、発熱ではなく、掻きむしったせいだった。

 

じんましん?どういうこと?と聞くと、

月曜日(※定期検診に行った日)の夜、寝ていたら急に首回りがかゆくなってきて

それがだんだん体中に広がったという。

何かおかしなものでも食べたのでは?と聞いても心当たりがないと言う。

そもそも、父がこれまでにじんましんが出た・・・なんてことは聞いたことがないし

おそらく突発的なものだったのかもしれない。

 

父には悪いと思うけれど、わたしは「じんましんが・・・」と言われた瞬間に、

 

え?まさか病院・・・・? めんどくさいな・・・イヤだな・・・。

 

と思ってしまった。

でも、知らん顔はできないので、グっと本音は隠して

「病院行ったほうがよくない?」

と、父に言うと

 

「いや、もうだいぶおさまってきたから病院は行かなくていいと思う。」

 

とやんわり拒否した。

でも、顔や首元を真っ赤に腫らして、ボリボリ掻きむしりながら「もう大丈夫」

などと言われても、ちっとも大丈夫そうには見えない。

 

「背中も出てるの?」

と、聞くと

「昨日はすごくかゆかったけどおさまっただろう。」

と言う父。

 

ちょっと見せて、と背中をまくりあげてびっくり。

(※少々グロいので、小さめ画像でお伝えします) 

 

 

いやいやいやいや、これのどこがおさまってるの?

背中ボコボコじゃん!

 

それでも父は、「ムヒを塗ればかゆみがおさまるからムヒを塗ってくれればいいよ」

などと言っている。

 

病院へ連れていくのめんどくさいしなあ・・・という思いから、

一瞬、父に言われるままムヒに手が伸びたわたしだったが、

 

(いや、今日は木曜日。午後からヘルパーさんが来るじゃん。

こんな状態なのに医者に連れて行かないなんて、

なんだかちゃんと父親の世話をしていないように思われてしまう!)

 

と、そんな思いが頭をよぎった。

なんて冷たい人だと思われるかもしれないけれど、これがわたしの本音・・・。

父のことに自分の時間が取られるのがイヤなので、

「病院に行かずに済ませたいな」と思ってしまうのが本音。

でも、ヘルパーさんになんて思われるだろう?と考えてしまうのも本音なのだ・・・。

 

身体の前側も、背中側も、じんましんらしきボコボコでいっぱいだった。

ゴールデンウィーク目前でもあるし、これを放置して連休中に悪化されるほうが

やっかいに違いない。そう考えると病院に連れて行かないわけにはいかないな・・・と

今日の自分の予定をあきらめ、急きょ父を皮膚科に連れていくことにした。

 

皮膚科はびっくりするほど混雑していた。どうやら予約制だったらしく、

9時の開院と同時に受付を済ませたのに、11時まで2時間も待たされた。

予約優先なのでこればっかりは仕方がないけれど、待合室でもう疲れ切ってしまった。

 

そしてようやく診察室に通されたけれど、そこでは先生ではなく看護師さんから

いわゆる「事前問診」のような形で、症状について詳細を尋ねられた。

 

「3日前からということですが、最初にじんましんが出た時は呼吸が苦しいなどの

症状はありましたか?最初はどんな感じで始まりましたか?

赤みはその時と比べてどうですか?」

などと、看護師さんは付き添いのわたしのほうに、

じんましんが始まったときの様子について尋ねてくる。

患者は鼻に酸素のチューブを入れたじいさんだもの。

鼻チューブで酸素ボンベを引いて歩く姿は2倍増しで父を高齢者に見せる。

(父にはかわいそうだけど)

付き添いの家族の人に聞くのは、至極当たり前のことだった。

 

でもわたしは一緒に住んでいるわけじゃないし、

今日の朝、じんましんのことを知ったばかりで始まりがどんなだったかは

知らないわけで、何も答えられない。

 

看護師さんにとっては、いたって普通の問診だったと思うけれど

わたしのほうは

 

(こんなにひどいじんましんなのに、

しかも高齢者なのに3日間も放置していたのか?とか思われていないだろうか?

わたしは知らなかったんです。知らなかったんです。

知ってたらその日のうちにすぐ連れてきたんですー。)

 

と、心の中で必死に言い訳していた。

こんな年寄りに3日間もじんましんを我慢させて・・・

冷たい娘だとか思われていませんように、などと心配しながら。

 

 その後、ようやく医者の診察が始まったけれど、ここでもやっぱり

「3日前ってことですが・・・」

と、同じようなことを繰り返し聞かれた。

そして、わたしは同じように「決してわたしが放置してたんじゃないんです」

と心の中で必死に訴えていた。

 

皮膚科の先生からは

「とりあえず、じんましんを抑えるための抗アレルギー薬と、塗り薬を

出すけれど、それが効くかどうか?は人によって違うので

もしも効果がないようだったら、薬を変えるので、

できれば連休に入る前・・・・

土曜日にもう一度見せてほしいのだけど、来ることは可能ですか?

都合は大丈夫ですか?」

と言われた。

 

内心、うげーー勘弁してくれ・・・と思った。

(↑超本音)

 

もちろん、そんな顔を見せられるわけがない。

 

「はい、大丈夫です!土曜日ですね。」

 

と、わたしはハキハキ答えた。

 

薬が体に合って、じんましんがおさまってくれれば土曜日にもう一度来る必要は

ないわけなので・・・どうか薬が効きますように!と祈る思いだ。

 

帰り道・・・わたしは一体どっちを向いて父の介護をしているんだろうなあ・・・と

ちょっと自分で自分がイヤになった。

 

決して「いい娘さんですね」という高評価が欲しいわけではない。

ただただ、「娘としての責任はちゃんと果たしている」と思われていたいというだけ。

 

今日のことだけじゃない。

たとえば、父のところへは火曜日と木曜日にヘルパーさんが来て、お風呂の見守りを

してくれる。

つまり、火曜日と木曜日に、父の洗濯物が発生する。

 

外づらが良くて、体裁ばかりを気にするわたしは

「火曜日に発生した父の洗濯物が、木曜日にヘルパーさんが来たときには

片付いていないと恥ずかしい」

といつもいつも思ってしまっている。

 

つまり、次にヘルパーさんが来たときに、前回の洗濯物がまだ残っているような

状態だと、それはわたしがちゃんと世話をしていないと見られてしまうんじゃ?という

見栄っ張り根性が働いてしまうのだ。

 

わたしが週3日、きっちりと父のところへ通うことにしているのは、

そうやってマメに洗濯物を回収するため・・・というのが実は大きな理由でもある。

そしてそれは、

「父のところにやってくるヘルパーさんや訪問看護師さんにわかるように

わたしがちゃんと父の身の回りのことをしているという痕跡を残したい」

という、ものすごく打算的な、人目ばかりを気にしての行動だ。

 

こんなこと、わざわざブログに書く必要もないことだけど、

ブログでは本音を率直に書きたいので・・・・。

(そうやって自分のバランスを取らねば)

 

 

・・・とまあ、そんなこんなで疲労困憊な父の皮膚科付き添いだったけれど

診察を終えて、帰りに父のリクエストでスーパーに寄り道などしたので

結局わたしが自宅に戻ったのは昼過ぎだった。

 

そしてこれで終わりではない!

 

背中のじんましんには自分では薬を塗れないので、

明日は朝と夜・・・・2回、背中に薬を塗るために

父のところへ行かなければならないという・・・(号泣)

 

自分ひとりの時間のなくなる、

ゴールデンウィーク前の貴重な今日と明日だったのにな・・・。

 

まあ、じんましんは父が悪いわけじゃないので責められないし・・・

せめて、薬が効いて、

土曜日に再び診察に行かなくてもよくなることを祈るのみだよ。