昨日の朝、父を訪ねて
「ヘルパーさんが来たときにお風呂にはいってくれると助かります」
の話をしたとき、ものすごく印象的にわたしの視界に飛び込んできたのは
真っ赤なハチマキ・・・・・のような、ぺらぺらなマフラーだった。
一体そんなもの、どこから引っ張り出してきたのか?
大昔のヤンキーかよ?というような下品な赤で(笑)しかも薄っぺらく幅も細い。
(だからハチマキっぽかった)
首に巻いているというよりは、首からぶら下がっているかのような
ヘンテコリンなスタイルで、それで暖かいのかどうか怪しい印象だった。
ものすごく気になったのだけど
そのときは真面目な話をしたかったので(←ヘルパーさんとお風呂問題)
とりあえず、その場は「何そのハチマキみたいなマフラーは?」と
ツッコミを入れるのはやめておいた。
が、帰り道に「そうか。ストーブがないから寒いんだな・・・」と、気付いた。
このところ急に寒さが増したことで、かなり寒がりな父だから
家の中でマフラー(の役目をはたしているように見えなかったけど)が要るほど
寒いってことなんだなぁ・・・と、少しかわいそうになった。
去年までは石油ストーブで暖をとっていた父。
消し忘れや、上に載せているやかんの空焚き、引火がとにかく心配だったので
安全のためには、ファンヒーターを使ってほしいと頼んだけど無理だった。
「消し忘れたことなんかないし、ストーブの上で餅を焼きたいからね。」
と、聞く耳を持たなかった。
皮肉にも、在宅酸素になったことで「火気厳禁」の生活が必然となり
今年の暖房はエアコンと電気ひざ掛けのみになってしまった父。
わたしとしては、この点についてだけは「在宅酸素のおかげ」という気持ちだ。
家の中で暖かく過ごせるように、何か上着を買ってあげよう~と、
今日、イオンへ出かけて物色して購入してきた。
中綿入りでモコモコ。内側はボアになってるから、たぶん首回りも暖かいはず。
ついでにネックウォーマーも(笑)
まあ、家の中で・・・というより、これは散歩用のときに使ってくれれば・・・の
つもりだけど。
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あ、「買ってきてあげた」だなんてえらそうに書いていますが、
父の貯金から買っています(笑)
退院後、自分で買い物に行けない状況だっため、
わたしが父に必要なものを日常的に購入することになったので、
キャッシュカードごと父から預かることになったのです。
わたしも何か買ってくるたびにお金請求するようなのもイヤだったし、
かといって、言いにくいからと我が家の家計からあれこれお金使ってたら
バカにならないですから。父は「お前の好きに使っていいよ」と太っ腹なことを
言ってますが、そういうことをする気はないのでそれなりにきちんと線引きしてます。
父のものと自分の家のものを一緒に買うことも多いので、細かく家計を分けるのは
難しいのですが(というか、0円単位まで分けてる気力もなしw)
「だいたい1万円くらい使ったなー」と思ったら1万円ひきだして・・・と
まあ、そのくらいのザックリ感ではありますが・・・。
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退院した直後、かなりいろいろまとめ買いした。
パジャマを1着しかもっていなかった父のために、
洗い替え用の冬用のあったかパジャマを2着購入し、
新しい下着もシャツにパンツにモモヒキ、薄手と冬用遠赤タイプをそれぞれ・・・
もちろん靴下も、3日分くらいずつすべて買いなおした。
そして散歩に出かける時用に、
ジップアップトレーナーや風を通しにくいズボンも購入したし、
新しいトイレマット一式、お風呂の足ふきマットに、
薄汚れてボロボロだったバスタオルも複数枚購入した。
必要だと思うものを買いそろえただけだったけれど、
父が珍しく「買ってきてくれたの?ありがとう」と
すごく喜んでくれたことをよく覚えている。
大げさだなぁと思ったけれど、すり切れた下着とか、
毛玉だらけの着古した古いパジャマ・・・などを見たら、
かなり長い期間、父が衣類などを自分で買ってないのかも?と気が付いた。
父は今年になってから、よく「スーパーで一人で買い物をするのが恥ずかしい」
というようなことをよく言っていた。
「”ひとり暮らしの寂しい老人”と思われているんじゃないかと恥ずかしいからだ」
と。
それを聞かされたときのわたしは、
「自意識過剰なんだよ。自分が思うほど人はそんなこと気にしてないのに」
と心の中で呆れて聞いていた。
けれど・・・今日、売り場で父の暖かい部屋着を「どれがいいかなあ」と選びながら、
なぜだかふと、父が自分で衣服を買っているイメージが頭に浮かんだ。
79歳で、一人暮らしで、息を切らして買い物をしている父の姿。
周りは家族連れや夫婦連れ。一人で買い物している後期高齢者なんていない。
その中で、酸素のカートを引いてゆっくり歩く爺さんが自分の下着をカゴに入れて
レジに並ぶ姿。。。。
若い時からずーーーーっとひとりだったわけでも、そうしてきたわけじゃなく
20年前までは、すべて母に任せきりだった人。
自分で料理したこともなければ、自分の下着を買いに行くなんてことも
したことがないであろう時代の人。
その父が、あの年になって洋服や下着の売り場をウロウロして服を選ぶのって
本当は人の目が「恥ずかしい」んじゃなくて、
「こんな歳になってまで、自分で買い物に出なくちゃいけない自分」を
客観的に見てしまい、「わびしい生活だな」と、
そんな孤独感を感じる場所が、買い物の場所なのかもしれない・・・と
なぜだかふと・・・そんな思いが浮かんだ。
もちろん、本当のところは父にしかわからないけれど。
今のわたしはまだ若いから「そんなことくらい!」と思ってしまうけれど
自分が80歳になって、夫に先立たれてひとり暮らしで・・・
家族連れや活力のある若い人達でにぎわう売り場で、自分のパジャマを選んでいる
そんな自分の姿を想像してみたら・・・
やっぱり、孤独感を感じるかもしれない・・・。今日、初めてそう思った。
あと30年経ったときに見える景色や
思い通りにならなくなっているであろう自分の身体で感じる気持ちは、
今の価値観で見えるものとは、全く違うんじゃないだろうか・・・と。
父には腹を立てててしまうことも多いけれど
父を通して教えられることもすごく多い。
「老いるってこういうこと。」
ってことを。
さて、明日はまた父をスタバに連れてってあげようか、とか言っちゃったので
行かなければ(笑)
明日は穏やかに過ごせますように。
モコモコの上着、気に入ってくれますように。