逆転の発想。

ケアマネさん・訪問看護師さん・ヘルパーさんが集まっての

プチ・ミーティングの続きから・・・

 

ずーっと心の中が浄化されない、基本的に平和主義のわたしにはあまりないような

ドス黒い感情を心の中に持った状態で話し合いの場にいた、その日のわたしは

ちょっともう、父の顔を見ることも無理な状況だったので、

テーブルの真ん中あたりに視線を落として、ときどき顔を上げてケアマネさんや

訪問看護師らと目を合わせて笑顔を見せているだけの人になっていた。

(とりあえず、不機嫌だということがバレないように顔だけ笑顔キープ)

 

同時に、やりたい放題の父の話を横で聞きながら、

わたしの頭の中をずっとグルグル回り続けていたのは、

父が「ヘルパーさんが来る日だというのに前日一人でお風呂に入っちゃった」

の衝撃だった。

読んでいただいている方には、わたしの受けたガッカリ感がなかなか伝わらない

かもしれないけれど、(別にそのくらい、いいじゃん?みたいな)

 

わたしにとっては、

 

「ヘルパーさんが来るというのにお風呂に入っちゃった」

「いや、お風呂一人で入れるじゃないですか?見守りも要らないってことじゃ?」

「・・・となるとヘルパー自体、要らなくないですか?」

 

というところへつながる微妙な問題だった。

 

実際、ひとりでお湯を入れてお風呂に入ることはできてしまったし、

お風呂のためにはヘルパーさんは要らない疑惑はある・・・。

 

さらに言うと、

「明日はヘルパーさんが来る日だから勝手にその前にお風呂入ったりしないでね。

せっかく来てくれるのに”昨日お風呂入ったから要らない”とか言わないでね」

と、いちいちそんな注文を父につけることになってしまいそうで、

スケジュールを決められたくない父の反発を招きかねない。

・・・というか、絶対不満を言うと思う。

 

ヘルパーさんにも迷惑かけたくないし、父が「風呂入らん」だなんて

言って失礼な態度取ったりしたら困る・・・などなど、

だんだんとそれは、

「ヘルパーさんに来てもらうことによって生まれる想定外のストレス」

につながりそうで・・・。

 

わたしは昨日まで

「ヘルパーはやめたほうがいいのかなあ・・・お風呂は自分で入らせて、

掃除は今まで通りに自分でやって・・・のほうが、

お世話してくれる人へ(わたしが)気を使わなくて済むようになるだろうし、

そのほうがいっそ楽なのでは?」

と、実は考え始めていた。

 

そして、事実をありのままにケアマネさんに話して、相談してみようかとも

思い、スマホの発信をタップしようかと迷うところまでいきながら、

思いとどまった。

相談を思いとどまったのは、「何を相談したいのか」「何が困っているのか」

が頭の中で全くまとまっておらず、

今電話しても単なる父の愚痴になってしまい「つまり何が言いたいかというと」

のその先が浮かばなかったからだ。

 

代わりに、ここで冷静に頭を整理して、どうしてヘルパーさんに入ってもらいたいか?

を自分に問い直してみた。すると

 

①今の規則正しい入浴・着替えペースをキープしたい(※清潔な状態を保つため)

②お風呂・トイレ・居室の掃除を頼みたい

③入浴日が決まっているとわたしの予定が立ちやすく助かる。

(※いつも入浴の翌日に洗濯物の回収を兼ねて訪ねるから)

④父の体調確認を頼める安心感。

⑤入浴中の万が一があるといけないのでやはり誰かにいてほしい。

 

・・・・と、優先度の高い順にこんな理由が浮かんだ。

 

つまり、「わたしのため」が理由の大半だと言ってもいい。

自分の利便性、自分の満足度のため・・・。

 

けれど、もしも父が

「ヘルパーさんにお風呂サポートしてもらうのが窮屈だ」

と感じているとしたら・・・

「父の嫌がることはしない」と決めた以上、

父が疑問に思うようなヘルパーさんの利用を続けていれば、

父から不満が出るのも遠くないと思う。

うーん・・・いっそヘルパーさんをやめるか、

あるいは「掃除」だけにしてもらう柔軟性も見せなければいけないなあ・・・

と悩みつつ、今朝いつものように父を訪ねたわたし。

 

これまでは、わたしがトイレ、お風呂、居室の掃除をしていたけれど

昨日早速ヘルパーさんが入ってくれたおかげで、きれいになっており

(ヘルパーさんには父が入浴している間にトイレと部屋の掃除をし、

入浴後、お風呂の掃除をしてもらうようにお願いしてある)

たかがひとり暮らしの親の家の掃除とはいえ、

もうしなくていいんだ~・・・と、

いう解放感は、この上なく大きなものだった。

 

それに、お風呂を終えたそのタイミングで

お風呂の掃除をしてもらえるほうがスッキリとして気持ちいいに決まっている。

うーん、やっぱり「お風呂サポート」はやめられないなぁ・・・と

思ったわたしは、父がヘルパーさんのお風呂サポートしてくれることに対して

不満を言い出す前に、今後をふまえて先手を打たなければと思った。

 

 

ただ、前回の記事に書いた通り、

「父のためを思ってわたしが考えてあげたのだから」というところを

強調してしまうと、それは父にとって「押しつけ」になってしまい

「そんな必要ない」とはねつけられてしまう可能性大・・・!

ここはうまく説得しないといけないぞ・・・と、冷静に考えたわたしは

 

思い切って、これまでとは違う言葉で攻めてみた。

 

 

 

「お父さんはもう一人でお風呂に入れるから

ヘルパーさんは必要ないと思ってるだろうけど、

ヘルパーさんにお風呂の見守りしてもらえると、

お父さんがお風呂に入ったあとすぐに掃除もしてもらえるし、

お風呂に入っている間に部屋やトイレの掃除までしてもらえるから

わたしがとっても助かるの。

だから、

わたしのためだと思って

これからも、週2回はヘルパーさんが来たときには

お風呂に入るようにしてもらえないかな?」

 

・・・と、あえて「娘のお願い」「娘のため」を強調してみたのだ。

(ま、実際わたしのため・・・で、間違ってない)

 

すると、これが面白いようにピタリとはまった(笑)

 

「うん、いいよ。お前がそういうならそれでいいよ。

ヘルパーさんが来ない週末は自分で入るが、ヘルパーさんには黙ってるよ(笑)」

 

と、父は笑って答えてくれたのだ。

 

 

うまくやったぜ!わたし!

 

と、心の中で大きくガッツポーズが出た。

 

そして、またひとつ父の扱い方のコツをつかんだ気がした。

もちろん、いつもいつも同じ方法がうまくはまるとは限らない。

けれど、

老いた親を前にすると、どうしても口癖のように

「お父さんのためなのだから」「お父さんのためを思って」と

いう言い方で物事を勧めてしまいがちだけど、特にプライドの高い親に対しては

時にはこうして

「わたしのために協力してください」という「お願い」モードで攻めるほうが

うまくいく場合もあるのね~・・というのは発見だった。

 

実際、買い物・洗濯・ゴミ捨てを娘に頼っている父としては

「わたしが助かる」と言われては、逆らえなかったのかもしれない(笑)

 

ともあれ、先週初めからずっと続いていたわたしの憂鬱モードは

このやり取りでいったん収めることができた感じ。

 

父があまりに素直だったので、気をよくしたわたしは

 

「土曜日、またスタバ行く?連れていくよ?」

 

と、つい調子に乗って言ってしまった。

 

父はその言葉を聞くと、うれしそうに目を輝かせて

 

「行きたいねえ。行こうか!」と笑った。

 

わたしもまた、懲りない娘ですねー・・・・・。