一周回って・・・。

今月の初めに退院した父。

でも在宅酸素を常に連れて歩くちょっと不便な身体になってしまったのと、

退院後もなかなか体力が戻らないため、

結局ほとんど家の中だけですごしている。

退院して最初の1週間くらいは、ちょっと精神面もウツ気味だったり、自分にイラ

ついている様子も見られたけれど、それもこのごろは落ち着いてきて

自分ひとりで昼間酸素ボンベのカートをコロコロと転がしながら散歩にも行けるように

なった。

 

先日も、「初場所を見に行きたいなあ」と言っていた・・・と書いたばかりだけれど

 

norako-hideaway.hatenablog.com

そういうことを口にするくらいには、外出欲が上がって来たということなので

それはすごくいいこと。

 

あ、まだ初場所の抽選には申し込んでいない(笑)

ここで、わたしの悪い癖が出てきてしまうのだが・・・

お出かけ好きなのに、1日15分ほどの散歩以外はずっと家にこもりきりの父が

かわいそうに思えてきてしまう。

それで、

「たまにはどこかに連れ出してあげたようかな。そしたら喜ぶんじゃないかな」などと

よけいなことを思いついてしまうのだ。

 

ああそうだ。ちょうど紅葉が見ごろだし、紅葉スポットとかどうだろう?

と、さらに具体的に思いついてしまって地元の紅葉スポットを検索検索。

けれどふとそこで現実に気が付く。

 

まだ10分歩くのにも途中で息が切れるので休憩しなければ歩けない父。

紅葉スポットへ行っても、駐車場からその入り口へたどり着くだけで

体力を使い切ってしまう可能性大だろう。

 

ならば、車椅子を貸し出してくれるスポットにしたらいいのでは?

現地で車椅子を借りて、歩けるところは歩いて、疲れたら車椅子にすれば?

おお、これはナイスアイディア。

これだったら、父もどこへでも(車椅子を貸してくれるところなら)連れていける。

 

いやまて・・・。

 

酸素ボンベさえ恥ずかしいと思っている父が、車椅子に素直に乗るだろうか?

全く歩けないわけじゃないのに。

(酸素ボンベを携帯している時点で、父が車椅子を使うことを周囲にいる人はきっと誰

もヘンに思わないと思うが、重病人であるかのように思われたくない父にとっては

それこそが耐えられない組み合わせになる可能性大・・・)

 

たぶん、事前に「向こうで車椅子を借りたらいいし」なんて言ってしまったら

「休みながら歩くから車椅子なんて必要ない」とでも言われて拒否されるはず。

かといって、何も知らせずに連れ出して、現地で「車いす借りてくるね」なんて

言おうものなら、それこそせっかく紅葉を見に来たのに、例の散歩のときのように

「余計なことをするな」とでも言われて、

父をキレさせることになるかもしれない・・・(汗)

 

もうそこまで考えたところで、思考がストップした。

 

そもそも・・・父は自然を愛でる人ではないよなぁ・・・。

(美術館とか博物館とか、”作品”が大好きな人)

なんとなくタイミング的に「紅葉」って思いついちゃったけど、

父は別にそんなに興味ないかも。

そして、連れて行ったところで例の散歩のときのように意地を張って車椅子を使わず

モタモタ歩いてまた機嫌が悪くなるようなことになったら・・・。

 

メ ン ド ク サ イ ナ・・・・。

 

どうしようか結論が出なくなったので、困ったときの兄頼みで意見を求めると

 

「まあ、お前が連れてってやりたいならいいけど

僕は別にそこまでしてやる必要はないと思うかな。

もう少し歩けるようになってからでもいいんじゃないかなという意味で。

車椅子でゴネられてイヤな思いさせられて

せっかく連れて行ってあげたのに、ってあとから思うようなことにならなければ

いいんじゃないの?としか言えない。」

 

という、ド正論な冷静なコメントが返って来た。

 

確かに言うとおりだった。

わたしって、いつもいつもそうなのだ。

父の世話をすることを、重荷に感じている一方で

その父を見ていると、元気づけたいとか楽しませたいとか、

ついつい考えてしまって無理してしまう。

もちろんそれは、傍から見たら「いい娘」に映ることかもしれないけれど

自分が楽しくてやっているわけじゃなくて、

なんというか「こうしてあげなきゃ」っていう意識に縛られている感じで

それも含めて「自分の役目」みたいに思っちゃってるような。

 

まだやっと、長い通い介護の生活のスタート地点についたばかり。

最初からあれもこれもと、父の生活に感情を注ぎ込みすぎるのはきっとよくない。

兄のように、それによって「してあげたのに」って愚痴が出てくるようになっても

それは「エゴの押し付け」でしかないわけだし・・・。

 

父の様子に左右されすぎないように・・・

そして、あまり「かわいそう」って気持ちに流されないようにしないとダメだな。

 

父のおでかけはもう少し足腰がしっかりしてからにしよう。

 

車椅子のことを考えなくてもいいくらいに体力が戻ることを願いつつ・・・。