ケアマネージャーを選ぶって?!

今週1週間は本当に忙しかった。

病院通いとの掛け持ちで、父には関係のない自分のもともとの予定をこなしつつ、

父の家のハウスクリーニングに2日間×各6時間ずつ立ち合い

(というか家にいただけだが、赤の他人の気配を感じながらなので昼寝もできず)

そして今日は、ついに要介護認定調査の日でもあった。

でもこの調査の話はまた次回に。

 

・・・というのも、認定調査のために病院を訪れたときに、

運よく地域包括支援センターのSさんに会うことができたから、

そちらを書きたいので。

 

父が人工呼吸器の状態から脱した後、

実はわたしはその後の話はそれほどブログに書くようなことは

出てこないんじゃないかと思っていたが、それは全く予想と違っていた。

なぜなら、毎日毎日、新しい疑問がわいてきて、新たな「やるべきこと」も出てきて

ちっとも暇にはならないからだ。

 

その中心にあるのが「介護サービス」を利用するための行程。

その制度についてなんとなく知っていても、そこに至るまでの

具体的な過程というのはホントに実際に経験して初めて知ることばかりである。

何度も言うが、これでもFP1級まで取ったのに・・・・(汗)

あんな”試験用”の知識は実体験ではほとんど何の役にも立たない。本当に。

 

ところで、介護申請から実際に利用を始めるまでに・・・

具体的に一体何をどんな順番でこなしていくことになるのか?

そういった実例が書かれたサイトやブログは、本当に見当たらない。

だいたいそこのところは、サラリと端折り、介護生活そのものに焦点を当てている

ブログやサイトが多い気がする。

いざこうして、自分が手続きをする立場になってみると

まず知りたいのはその部分の具体例だったりするので、とても歯がゆい。

みんなこういうときどうしてるの?が知りたいのになあ・・・と。

 

同時に、介護サービスを利用している人の体験談の大半は

認知症の親御さんを抱えた方のものなので、これもまた参考にしづらい・・・。

父のように呼吸器疾患を抱えている人の「困ること」とはやはり違うからだ。

 

わたしが父の退院を間近に控えていてとても気がかりだったのは、

「退院してから介護サービスが始まるまでの間の補助」のことだった。

食事や掃除、洗濯については、なんとかなるが問題は「お風呂」だった。

 

人工呼吸器が外れて以降、これまで2回、父はシャワー浴をさせてもらったが

そのときは、シャワー室まで車いすで送迎してもらい、

シャワーを浴びるための浴室内の準備も当然看護師さんにしてもらっている。

すべてお膳立てしてもらって、自分は洗って流すところだけやればいい状態だ。

しかし、病院内は温かいので、シャワー浴が可能でも、

自宅に帰ったら、この季節にシャワーは寒すぎると思う。

(自分だってシャワーで済ませたくはないと思うくらいなのだから)

かといって湯船につかると水圧によって肺が圧迫されて息苦しくなるため、

自分では湯船から出られないかもしれないと父自身が不安を吐露している。

 

ネットで調べて

「介護サービスは申請日にさかのぼって適用されるので、

介護認定の結果が出る前から、介護サービスを利用することも可能。

ただし後日、結果が該当なし、あるいは実際の認定よりも多くサービスを

利用してしまった分については全額自己負担となる」

という情報を得ていたので、そのあたりのことをSさんに相談したかったのだ。

 

「掃除や洗濯、食事は(介護認定が出るまでの)1か月くらいなら

わたしが何とか出来ると思うのですが、お風呂の介助だけは・・・。

わたしは腰の手術をしていて介助は無理なので

介護サービスが使えるまでの間、お風呂をどうしたらいいものかと。」

 

と、Sさんに不安を打ち明けた。

するとSさんは大きな声で笑いながらこんなふうに言ったのだ。

 

「いやいや、それ以前の問題じゃない?

実の父親のお風呂の介助なんてしたくないし、できないわよ~(笑)

そうじゃない?」

と。

 

実はそれは半分わたしの本音だった。腰にスクリューが入っているので、

わたしの腰は「おじぎ」程度にしか曲げられないのはもちろん事実である。

(実際、わたしは洗面所で自分の顔を洗うこともできないので、洗顔はいつも蒸しタオルである)

 

しかし、自分の身体に問題がなかったとしても、

父親のお風呂の介助とか下の世話が抵抗なくできるか?といえばそれはNOだった。

そこまでの覚悟と開き直りに至るのはこの段階ではまだ難しかったと思う。

けれど、「父親のお風呂の介助なんてしたくない」なんて本音は、

友人同士なら言えても第三者には言えない・・・。

 

けれどこのSさんは、「そんなのやりたくないわよ~」と、

あっけらかんと笑ってくれたわけで、わたしはこの瞬間本当に肩の力が抜けたし、

「ああ、こういうところを遠慮なく介護サービス使っていいんだ」と、

心の底から安堵できた。

 

これは近距離介護特有の感覚かもしれないけれど、

簡単に「介護サービス使えば?」と言っても、いざその立場になったとき、

「やろうと思えば自分たちでできる部分をサービスに頼る罪悪感」

どうしても湧いてきて、それが自分をさらに追い詰めるんだと思った。

 

けれど、そうじゃないんだなということがこの瞬間わかった気がした。

 

そして、わたしがネットで調べたとおりのことをSさんもまた説明してくれた。

認定が出る前にサービスを利用することもできると。

しかし、Sさんが次に言ったのは

「まずはケアマネージャーを選ばないといけないから、どこか決めてね。」

という言葉だった。

 

選ぶ????

決めて???

頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになった。

 

「介護認定が出たらケアマネさんが担当につく」というところは、

もちろん事前に理解していた。

しかし、あえて恥を承知で書くが

(今後介護申請デビューする人の役に立てばという気持ちで)

わたしはそれって、

認定が出たら”〇〇さんの担当はわたしです”と、向こうからやってきてくれるもの

だとばかり思い込んでいたのだ。

しかしそうではなかった。

Sさんの説明でわかったが、

父の住む地域の「居宅介護支援事業所リスト」の中から

自分でどこかひとつ事業所(=ケアマネ)を「ここでお願いします」という感じで

選ばなければいけないというのだ。

それが「ケアマネージャーを選ぶ」ということの最初の意味だった。

(※担当が決まる、というのは事業所を自分で探した後の話)

 

そのリスト、こんな田舎だというのに数十か所もある!(驚)

こんなもの、何を基準にどうやって選んだらいいのだ?

そもそも、「実家」といっても、今の実家はわたしが結婚して家を出た後に

両親が移り住んだ市なので、わたしには一切土地勘がなく

リストの住所を見てもそれが実家から近いのか遠いのかさえわからない状態だった。

 

Sさんに尋ねる。

「ど、どうやって選んだらいいんですか・・・?(汗)」

 

Sさん「いろんな選び方があるわよ。24時間対応しているところがいいとか、

病院やデイサービスと併設しているところがいいとか・・・」

 

と、選定基準もいろいろ教えてもらったが、

数十か所ある、全く知らない事業所の中から単純な条件のみで選択するのだって、

大変な作業だしとてもじゃないが決めきれないし、

そんなことではその事業所の雰囲気すらわからない。

実際候補にした事業所をいくつか訪ねて話を聞いて決めるものなのだろうか?

いやいやいや。やるべきことが多すぎて、すでに疲れ切っているのに

さらにこんなことに時間を割くなんて、考えただけでグッタリだ。

 

すると、よく見るとリストの中にこの病院の名前があることに気が付いた。

 

私「あれ?ここの病院の中にもあるんですね?」

Sさん「ええ、ここでもやってますよ。」

 

・・・とSさんは言うものの、病院内の事業所についてそれ以上説明してくれない。

それでも、わたしは迷うのをやめた。

 

私「じゃあ、ここでいいです!

ここでお世話になります!」

 

口頭ではあるが、いともあっさり決めてしまった。

 

本当はもっとじっくりと吟味して決めるべきことなのかもしれないけれど、

知らない事業所について、調べる手間や時間をかける元気はなかった。

けれど、もっと単純に

 

★今後もいつまた肺炎で入院するかわからない病気もち&在宅酸素の身体だから、

 主治医のいる、この病院と連携できているほうが安心便利なはず。

★当然、訪問看護ステーションも併設されているので、訪問看護を受ける場合にも

 きっと連携がスムーズ

★Sさんも看護師さんも先生も、この病院のスタッフは皆いい人ばかりなので

 きっとケアマネさんたちもいい人たちのはず(これは願望)

 

・・・とちゃんと考えた上のことで、決して安易に決めたわけではない。

今後も入退院を繰り返す可能性を考えると、この病院を選ばない理由はないと思った。

認知症の親の場合は、また選択基準が変わってくるかもしれないけれど、

父のように明確な病気を抱えている場合は医療との連携が一番大事のような気がする。

 

するとSさんがここで初めて言った。

「ありがとうございます。実は”営業”はしちゃいけないことになっているから、

わたしからうちの病院を積極的に勧めるってことはできなくてね(笑)」と。

 

なるほど、だからSさんからこの病院の事業所について詳しい説明がなかったのか。

 

実はSさんも、その事業所のケアマネとして籍はあるのだそう。

わたしはSさんが担当になってくれたらなあ・・・とかすかな期待を持っていたが

 

「籍はあるものの、今は病棟の患者さん対応が忙しくってケアマネの仕事は

できない状態なのよ~(泣)本当はやりたいんだけどね~」

とのことだった。

ガッカリだけど、こればっかりは仕方がない。

 

ともあれ、これでまた一歩前進か?

 

介護サービスを使うまでの道のりは本当に複雑で遠い。

 

「介護サービス使えば?」って、簡単に言わないでという世界だ。 ホントに。