介護申請、そしてもうひとつの問題。

10月25日(金曜日)

 

前日、病院からの帰り道にある市役所の高齢福祉課に寄って、申請用紙をもらい、

家で記入してから、この日朝いちばんで、再び高齢福祉課へ行った。

窓口対応してくれたのは40代くらいの男性だが、なんとなーく、イヤな感じ。

いわゆる「お役所仕事的な態度」という意味ではなく

「この人介護申請の手続きわかってるのかな?」という、

説明のたどたどしさだったからであった。

 

認定調査を受ける希望場所について、「自宅」か「その他」を選ぶ項目があったが

まだ入院中であったため、仮に「自宅」に〇をつけて提出し、

入院中であることを告げると、その男性職員は

「いつなら自宅にいるのですか?」と聞く。

「まだ入院中なのでわかりません。最長で2週間くらいだと思いますが、早ければ1週間くらいで退院になるかもしれなくて・・・」

と、説明。

調査員が来るときに「退院しているなら自宅で、入院中なら病室で」という形で

対応してもらえると思ったからだ。ところがその男性職員からは

 

「確実に自宅に戻っている日付を教えてくれないと困ります。」

 

と言われてしまった。地域包括支援センターのSさんからは、そんな話は聞いてなくて

「入院中でも病室で受けられるから大丈夫よ」なニュアンスだったのに

そんな厳しいのか?と謎だったが、

「2週間後なら確実かと・・・」と仕方なく答えると、男性職員はカレンダーを

指で数えながら「では11月7日以降ということでいいですね」と、申請書に

「11月7日」と書き込んだ。

 

勝手がわからないので、「はいそれでいいです」と答えた。

そして、これも相談員Sさんから

「介護認定の結果通知は書留で原則お父様のところへ送られるけれど、娘さんが

受け取ったほうがよければ、そのように窓口で伝えればいいですよ」

と、言われていたので、父に「書留が届くから」と説明するのも面倒だと思ったので

これについても男性職員に

「・・・ということで、結果の通知は私の自宅にしてほしいのですが」

と聞いてみたところ、「あ・・・・ああ・・・そ、そうですか。えーっと・・・」と、

明らかにそれをどう書いていいかわからない様子だったので

「ああ、この人この申請書の受付に慣れてないんだな」とわかった。

 

申請してから40日はかかると言われていたので、覚悟はしているものの

認定調査まで2週間も待たなければいけないとは・・・

それまでには退院しているだろうし、調査が遅いということは、介護サービスのほうも

その分スタートが遅れるわけで・・・

気の遠くなるような話だなぁ・・・と思っていたが

なんと、10月29日。

つまり昨日の話だが

 

朝いちばんに市役所からわたしの携帯に電話がかかってきた。

申請を受け付けた男性職員ではなく、明るい声の女性職員だった。

 

「介護申請の件ですが、今ちょうど認定調査のほうが空いているので

すぐにでも受けられますが、いつがいいでしょうか?」

 

という思わぬ電話だったのだ。

わたしは入院中であることを改めて説明すると、女性職員は

 

「申請書のほうには”11月7日以降に自宅で”と書かれていますが、調査は

退院後、自宅で受けるほうをご希望ですか?」

と言うので、

 

わたしは

「申請の際に、確実に自宅にいる日にちを言ってくれと言われたので

そう答えただけで、こちらとしてはすぐにでも調査をお願いしたい、入院中でも

一向にかまいません」

と伝えると、「それは申し訳ありませんでした」と女性職員から謝られてしまった。

 

やっぱり、あのときの窓口の男性の対応はヘンだったんだな・・・。

 

こうして、タイミングがよかったというべきか?思わぬトントン拍子で

今週金曜日に急きょ認定調査を受けられることになった。

 

これで、介護サービスについては、とりあえずこの先は流れに乗って

スケジュールをこなしていくだけとなった。

 

しかし、介護保険とはまた別の、大きな問題が残っている。

それは「在宅酸素」についてのことだった。

 

父は人工呼吸器を外した日は、酸素5Lを吸入するところからスタートし、日に日に

酸素量を減らすことができ、このごろでは酸素1~2Lというレベルまできた。

最悪だった時期を思えば、これだけでもものすごい回復である。

しかし、ここからが高い壁だった。

 

吸う酸素量が1~2Lとはいえ、それはあくまでも「安静時」の話である。

ベッドにごろっと横になっている状態で、酸素1~2Lを吸っていると、

酸素濃度の数値は安定して95くらいを維持した。

しかし、起き上って食事をする、

トイレへ行って帰ってくる、

そしてリハビリで歩行訓練をする・・・

 

こういう動きをすると、酸素を吸った状態でも簡単に85~7まで落ちてしまう。

以前にも書いたが、

この酸素飽和濃度は、健康な人で常時95~100はある。

その健康な人が体調不良なときでもせいぜい90~95。

(病気による一時的なものなので回復すれば戻るもの)

父は現在、酸素を吸った状態で、安静時95をなんとか維持しているわけで・・・

リハビリで息があがると、呼吸を整えるために酸素は3Lに上げられるらしい。

 

こんな状態では、もうこれは酸素ナシの退院なんて無理なのでは?と思われた。

酸素がなければ、おそらく85が精いっぱいなはず。

それは、普通の人だったら息苦しくて仕方のない数字。

けれど、低酸素がデフォルトになってしまっている父にとっては、85は

それほど息苦しくない。

本人が息苦しくないならOKということではなく、

それは単に体が慣れているだけのことなので、

そういう人は呼吸困難の自覚がないまま酸素量の低下によって、

突然倒れてしまったりするのだそう。

また、低酸素を我慢することは、肺に負担をかけて弱らせるだけでなく、心臓にも

負担がかかってしまうので、「我慢して酸素を使わない」はいいことは何一つない。

 

しかし、主治医からはなぜか酸素の話がなかなか出なかった。

わたしはそれがとても疑問だったのだが、その意味は

この介護申請の手続きに行く2日程前(つまり現時点から1週間前)に

わかっていた。

 

(わたしが不在のときに)父に対して主治医はこう言ったらしい。

 

「〇〇さんの肺の機能は、あと1~2週間くらいリハビリを頑張れば、

入院前の状態に戻せる可能性があると思いますよ。

退院や在宅酸素の話をするのはそれからにしましょう。」

 

と。

 

わたしは父のこの、”笑わない”主治医については、

(笑顔がないせいで)質問がしづらい、どこか冷たさを感じる・・・と

感じていて、どうも内心苦手だった。

もっと患者さんに対して親しみを込めて接してくれる人がいいなぁ・・・などと。

 

しかし、父からこの話を聞いたときに、自分が主治医に対して感じていたものは

大きな誤解であったことに気づいたのだ。

 

”退院や在宅酸素の話をするのはそれからにしましょう”

 

昨日も書いたが、この病院は急性期病院なので本来ならば

肺炎治療の終わった父は「転院してください」と言われても仕方のない立場である。

それなのにこの主治医は「あと1~2週間」なんて

じっくりと構えてくれていたのだ。

そして、「酸素ナシで帰ることを目標にしてくれている」という事実も。

 

もちろん、それが本当に叶うことかはわからない。

けれど、少しとっつきにくいと思った印象とは真逆の、患者のことをよく考えて

くれている主治医の誠実さに触れることができて、

わたしはとてもうれしかった。

 

さて・・・

 

手ぶらで病院から出ることができるか?

それとも酸素を連れて帰ることになるのか?

 

わたしにとっては、そんなに大きな問題ではないが

(酸欠を我慢して、酸欠のせいで出歩かなくなるよりも、

酸素吸入によって行動範囲が広がるほうがずっといいと思っているから)

 

 

酸素のカートを引きずっている高齢者を見ては

 

「ああなったら終わりだな」「ああはなりたくない」

 

と言ってきた父にとっては、目の前を真っ暗にしてしまうほどの不安のようだった。

果たしてどうなることやら・・・・。

 

それにしてももうずーっと長いこと・・・

毎日介護申請のことや、在宅酸素のこと・・・

わたしは毎日ネットでそのどちらかのワードばかり検索している気がする。

 

起きた瞬間、なーんにも考えなくていい朝はいつになったらくるんだろうか?