わたしは子供のころからずっと父のことが苦手だった。
子供の頃になぜ父が苦手だったのかといえば、
それはNHKと「8時だよ全員集合」と映画以外は見ることが許されなかったこととか
囲碁を覚えることを強制されたこととか
母がいないと不機嫌になることとか
その程度のことだったけれど、
高校時代くらいからは、母が父のことで耐えていることがたくさんあったと気づき
非常に難しい人間だと知ったから。
で、「父のような人とは絶対に結婚しない」と思っていて
自分が結婚した当初は「父とは真逆な大らかな人と結婚した」と思い込んでいた。
でも、夫とのコミュニケーションの難しさを実感するようになってから
特に今日この頃思うのは、
ある意味、父の方がずっと単純で扱いが楽だったんじゃないかなあ・・・ということ。
父はたぶん自己愛性パーソナリティ障害の人だったと思っている。
一般的に言われる症状のすべてが恐ろしいほどに当てはまるので恐らく間違いない。
ちなみに兄と弟は、父のことを「サイコパス」と生前からずっと言っている。
父の扱いにはそれなりに難しさがあったけれど、
とにかく「自分はすごい」と思っている&思われたい人だったので、
プライドを傷つけないよう、持ち上げて称賛することで、なんとかなる部分はあった。
(周囲に害が及ぶので、わたしが謝罪やフォローに回る大変さはあったけど)
ぶっちゃけ「おだてておけば平和」みたいな・・・ね(笑)
父と夫を比較したときに、父との付き合いのほうが圧倒的に楽だったと
一番感じる違いは、それは「父は多趣味だったこと」だ。
とにかくお出かけが大好き
海外旅行大好き
ゴルフ大好き
相撲大好き
メジャーリーグ大好き(毎朝BSで中継を見ていた)
囲碁大好き
映画大好き
芸術が大好き(美術館・博物館めぐり・クラシックコンサート)
読書大好き
NHK BSの外国旅行やドキュメンタリー大好き
・・・・・という人だったので、
ちょっと会話が途切れて、間が持たないなーと思った時も、さりげなく
これらのどれかについて話題を振れば、いつまでも饒舌に機嫌よく話してくれた。
旅行に誘えば、子供のように目を輝かせて
自分で熱心に行きたい場所をピックアップして、
自分の希望をじゃんじゃん話してくれたり・・・と
父の場合はそんなふうに「やりたいこと」「してほしいこと」が常に明確だったので
わたしは父の望みをかなえる方法を考えればいいだけだったので楽だったのだ。
父はうれしくて上機嫌になるし、
わたしはなんか親孝行している気持ちになれたし、
そういう点ではとてもwin-winだった。
ここが夫と父の最大の違い。
一方、夫はとにかく無趣味。暇とお金があるときはパチンコに行くけど
それ以外の趣味がない・・・。
趣味がない以前に「好きなこと・興味のあること」すらない。
一応、独人時代には夫もせっせとゴルフやスキーに行っていた。
しかし、夫にとってそれらは「ファッション」でしかなかったので
努力してうまくなろうとかそういう気持ちがなかった。
「努力」が必要なことは、絶対にしたくない人なので仕方ない。
お出かけや旅行は、夫は嫌いなわけじゃない。
ただ常に受け身なので自分で考えたり企画はしたくないのだ。
「どこか連れてって」「どこ連れてってくれるの?」「お前が考えて」と言う人。
(本当にこう言う)
何から何まで100%、すべてわたしがおぜん立てしてくれるのを待っている。
わたしは自分の父親よりもずっと穏やかで
一緒にいて楽な人を選んで結婚したつもりだったけれど、
こうしてトータルで比較すると、父のほうが単純で
「やりたいことに満ち溢れている人」だったので楽だったんだなーと思う。
無趣味はつらいよね、本当に。
特に、わたし定年後とかどうするんだろう?と思う。
一方で、わたしは夫のために我慢している「やりたいこと」がたくさんあるなんて。
皮肉だなーと思う。
おっと、だめだめだめ。
だんだん愚痴っぽくなってきてしまったので、もう終わりにしましょ。