この週末に、見知らぬ人が我が家のチャイムを鳴らしてきた。
宗教やセールスはすぐに見抜けるので居留守を使うが
モニターに映ったのはごくごく普通の中年夫婦で、
宗教でもセールスでもなさそう。
新たなご近所さんだろうか?などと思ったので玄関ドアを開けて応対すると
なんと、うちの南側の空き地の所有者だった。
実にここに住んで17年。初めて所有者に会った。
正確には、「所有者の息子さん」だった。
実際の所有者である母親が高齢で管理できなくなったため、
息子さんが引き継いで近々売却することになったのだという。
空き地は3階建てくらいの賃貸マンションが建ってもおかしくないくらいの広さだ。
「何か建つんですか?」と尋ねると、
まあ売却してしまうので詳しくはわからないが
売却先が建売住宅を扱っている会社らしいので、
おそらくアパートか建売住宅が建つのでは・・・?という話だった。
所有者夫婦は、いたってごく普通の低姿勢な人達で
これまで放置していて迷惑をかけてきたのではないか?と心配してくれた。
わたしは平和主義で事を荒立てるのは避けるタイプだけれど
この土地の雑草には、移り住んでからの17年間・・・
ずーっとイライラさせられっぱなしだったので
まあ今後お付き合いがある相手でもないし・・・と思い、
言葉を選びながらも思い切って相手に伝えた。
「毎年毎年、夏になると大量のツタ性植物が発生してそれがうちの庭まで侵入してくるので、何度も何度も伐採して、大変だったんです。繁殖力が強いので、うちの庭で
根を張られると困るので主人に頻繁に駆除してもらっていたんですよ。
雑草を何とかしてもらいたったけれど土地の持ち主がわからないので自分たちでやるしかなくて・・・」
と、口調は穏やかながら「とんでもなく迷惑をこうむっていた」ことは伝えたかった。
だって、この17年間・・・
夏になると、自分の庭の雑草だけでなく
夫は隣のその空き地のツタ性植物まで伐採していたのだから。
「甲子園の壁」をイメージしてもらうとよくわかると思う。
あの甲子園の壁を張っている植物。
まさにアレが、夏になると空き地を征服していたので、
我が家の庭にどんどん侵入してきていたのだ。
夫婦はわたしの話に平謝りで、ちょっと申し訳ない気持ちにもなったが
まあ、売却するってことはこれが最初で最後の対面になるだろうから
気にしないでおこう。
夫婦からは「つまらないものですが」と、菓子折りもいただいた。
拒否する理由もないのでいただいたが・・・
次に出てきた言葉に驚いてしまった。
夫妻「お隣の方は・・・お留守ですか?」
私「さあ・・・?車がなければお留守かと。」
夫妻「住んでいる方はいらっしゃるんですよね?」
私「(子供用の自転車が置いてあるんだからわかるだろうに)ええ、若いご家族が
住んでいますよ」
夫妻「どうもお留守みたいで・・・」
私「はあ。」
夫妻「お隣の方とは親しくお付き合いされていますか?」
私「???まあ、普通に会えばご挨拶しますけど・・・?」
夫妻「あのう・・・厚かましいお願いなんですが、私ども〇〇市から来ているので
たびたび足を運ぶ・・・というわけにもいかないんですね。
それで・・・代わりにこれ(菓子折り)を渡していただいて、今お話ししたこと
(売却&これまで迷惑かけてすみません)をお伝えいただくことは可能でしょうか?」
一瞬、何言ってんだ?と思ってしまった。
「お詫び」とか「ご挨拶」って人に「伝えておいてください」って
頼むものではないのではないか?
〇〇市から来ているので・・・と、言ったがそこは車で1時間程度で来れるところ。
今日がダメなら来週もう一度来たらいいのではないの?
「たびたび足を運べない」は、そちらの問題であって
わたし(しかも今日が初対面)には関係ない事情ではないの?
・・・と、頭の中でこんな感想がどばぁ~~~と噴き出したが
「それはそちらが直接伝えるのが常識では?」
・・・と言ってしまうのも、なんだか意地が悪い人間のようにも思えてしまい
頭の中で思っただけで、これらの言葉は言えず(笑)
「構いませんよ。」
と、いい顔をしてしまった。
ちなみに、このことを夫に言ったら案の定怒っていた。
夫はわたしに怒ることはないが、夫基準の「非常識」「筋の通らないこと」は
絶対に許せないタチだから。
まあ、お隣の奥さんに
「ほんっと!あの雑草迷惑でしたよね~」とでも言って渡そう。
それにしても・・・これまでずっと憂鬱の種であった「夏のツタ問題」には
悩まされずに済むことになりそうだけど、
どうやら代わりに家が建つことになりそうだ。
雑草は迷惑だったけれど、家の南側(うちは北玄関なので南は庭だけ)に
家が建つと随分と景観も・・・
そして日当たりも多少は影響があるかもしれないなあ・・・という
多少の不安も湧き上がっている。
あまり我が家のフェンスぎりぎりに家が建つようなことがないといいな・・・と
思うけれど、そう思った通りに行かないだろうし。
工事は来年春から始まるらしい。
どうなることやら~。