ここのところ、父の退院準備の問題が、思っていた以上に大変で・・・
もうこの先のことが不安で不安でしょうがない。
主治医の言葉に動かされて、「これが最後のチャンスだから」と
父と家へと帰すこと、そのサポートをすることを決心したのもつかの間、
病人とはいえ、元来のわがままな性格が病気によって丸くなるかといえば
性格なんてものは変わらない・・・という現実にぶち当たっている。
正直に本音を言えば、ここ数日の間に、1日1回は
「やっぱり入院か施設にいてくれるほうが楽だった・・・」と
ため息をついているほどに。
父の一人暮らしについて、それを「可能か不可能か」を判断する基準は
ずっと「トイレに自分で行けるかどうか」だったのだけど、
ここへきて、トイレ以前に「食事問題」がものすごく深刻になった。
最近のブログ記事にも書いてきたけれど、それは「配食サービスの受取問題」。
高齢者専用の配食サービスを利用していて、
それは昼と夜の2回、お弁当が届く。
独居老人にとってこれほどありがたいサービスはない。
けれど、独居老人の見守りを兼ねているサービスでもあるので
「手渡し」が原則だ。「玄関先に置いておきます」はできない行為となっている。
高齢者の見守りという目的もあると思うけれど、もうひとつには
玄関先にお弁当が放置されて、傷んだりする危険
(そしてその痛んだお弁当を高齢者が食べる危険)があるからだと思う。
どちらも、万が一問題が起きた時に、少しでも施設側の責任を問われるような可能性が
あることは絶対に避けたい・・・という理由で「手渡し原則」なのだろう。
(うちはそのことでクレームをつけることは決してないけれど、そういう利用者家族ばかりではないと思うからこれは仕方のないこと・・・)
けれど、今の父は・・・というと体調に大きな波があって、
日によって起き上がれないほど倦怠感が強い日もある。
またぼんやりしてチャイムに気が付かないということもあるだろう。
そこでケアマネさんと考えた対策がいろいろ。
①ヘルパーさんに受け取ってもらう
当初は「ヘルパーさんに配達時間にはいってもらって受け取ってもらえば」
と言っていたのだけど、あいにくその時間帯にヘルパーさんの空きがなかった・・・。
また、配達時間は日によって1時間くらいの幅で前後するので、
同じ時間にしか入れないヘルパーさんに頼む・・・というのも現実問題難しい。
もちろん他の事業所のヘルパーさんを利用することも可能だけれど、そこは父からの
「今更知らない人が来るのは嫌だ」の拒否に阻まれて断念。
②配達ドライバーさんに部屋の中まで持ってきてもらう
これは、施設側としてはOKだった。そして、これが父の体調に左右されない
もっとも合理的な方法でもある。けれど、これも父から「イヤだ」と拒否された。
これはわからなくもない。配達サービス自体は高齢者福祉のための施設なので
事務方の人はすごく感じのいい礼儀正しい方ばかりだけど、
ドライバーさんは60~70代の愛想のない年金生活者の男性ばかりだ。
しかも1人ではなく3~4人がシフトで回っているので、
そんな不愛想な・・・態度がいいとは決して言えないドライバーさん達が
1日2回もどかどか自室に入ってくるのは嫌だという気持ちはわかる。
でも、動けない身体なのだから本当は受け入れてもらわないと・・・(ため息)
③配達ドライバーさんに、扉の向こうから声をかけてもらう
「部屋まで入ってこられるのはイヤだ」と言った父の妥協案は、
「(室内の)ドアの向こうから声をかけるだけならOK」というものだった。
つまり、廊下まで入ってきてもらって、廊下とリビングをつなぐドアの向こうから
「配達にきました~弁当ここに置いておきますね~」「は~い、ごくろうさん」
・・・という、そんな「会話」だけを交わすというもの。
これも、施設側からはなんとかOKをもらった。(会話ができればOK)
が、ここにも問題点があって、もしもドライバーさんが来たときに父が眠っていれば
返事はかえってこないわけで・・・ドライバーさんは扉をあけて父の居住スペースを
覗かざるをえないことになる。また、扉自体が最初から開けっ放しのことだってある。
そうなるとそれもまた
「ドライバーさんが部屋の中を覗いてる」な状況が生まれるわけで・・・。
父が部屋を覗かれていることに気が付いたら・・・?
「おい、きさま!勝手に人の家を覗くとは何事か!」と
逆上すること間違いなし。(大げさではなく、父は本当にそういう人なのです)
④庭側の掃き出し窓から弁当を入れてもらう
これも配食サービス側としてはOKだった。
・・・が、父は体調が悪ければ窓のあるリビングではなく、
「奥の寝室で寝ている可能性」も高い。そうなると庭側からきてもらっても、
父の姿は見えず、声をかけても返事がなければ・・・
結局上がって寝室を覗くしかなくなる。(=以下、③と同じ展開)
⑤玄関にクーラーボックスを設置してそこに入れてもらう
配達時間のあとにはヘルパーさんが必ず毎日入るので、配食サービスさんによる
見守りはこちらとしては必須ではない。その旨をケアマネさんから伝えてもらい、
「玄関の内側にクーラーボックスを設置するのでそこに弁当を置いて行ってくれないか。自己責任でやらせてもらえないですか」
という、特別対応をお願いしてみたけれど・・・こちらはあえなく施設側から却下。
やはり、あちらにも規則があるわけで・・・父だけ特別・・・ということは
できないと言われた。こちらがいろいろ要望を言い過ぎたせいで、最後には
「こちらの規則に沿えないということであれば、うちでは対応できないのでどうかよそを探してください」
ということをやんわり言われてしまったらしい(泣)
施設側の対応はいちいちもっともなことで、ホント、こちらのわがままである。
まさか、配食サービスの受取一つでここまで悩むことになるとは思わなかった。
これがわたしの心を思いのほか消耗させていて、本当に虚しい気持ちでいっぱい。
なぜ「虚しい」のか?といえば、
これだけ頭をひねってなんとかお弁当を受け取れる方法を模索しても、
たぶん、おそらく、間違いなく・・・・
そのお弁当をほとんど捨てることになるのが目に見えているからだ。
だって、父はここのお弁当が気に入ってるわけじゃないのだもの。
「渋々」食べているだけで、7月中なんてほぼ全残しだったわけで・・・。
その、「どうせほとんど捨ててしまうことになるんだろうな」とわかっているお弁当を
どうにか受け取る方法を考えていることが、不毛なことであるように思えてならない。
かといって、このお弁当をやめたら、
「毎日毎回の食事を誰がどう用意するのだ?」となってしまうので、
弁当をなくしてしまう・・・ということは実質無理な状況。
そして・・・・考えに考えて、最終的に「もうこれしかないだろう」と
行きついた結論。
①昼のお弁当はあきらめる。
午前中に届くお昼のお弁当はどうやっても、現状受け取ることは不可能だ。
看護師さんが来るのは9:30だし、ヘルパーさんが来るのは12:30だし。
(配達はちょうどその間の10:30~11:30に届くため)
そもそも、父は食欲も落ちているし、
大変な思いをしてお昼のお弁当を受け取ったところで、
ほぼ9割は残すことになると思う。
なので昼食は、冷蔵庫や冷凍庫にあらかじめ保存食をストックしておき、
それを使ってヘルパーさんに簡単な昼食を用意してもらう・・・ということにした。
(冷凍うどんを茹でるとか、ラーメンを作ってもらうとか・・・という程度)
ヘルパーさんに食事を作ってもらえることはもちろん知っているけれど、
何度も書いているとおり、父は異常レベルで料理の味と素材の良しあしにうるさく
文句ばかり言う人なので、ヘルパーさんの料理にケチをつけることは明らかで、
とてもじゃないけれど、頼めない。
父が「あのヘルパーさんは料理が下手だ」とかわたしに言うのは目に見えている。
つまり、ヘルパーさんに手料理を頼むとみんながイヤな思いをすることが確実なのだ。
その点、冷凍うどんや、ラーメンを作ってもらったり、
ウインナーを炒めてもらったり・・・など、「初めから味が決まってる簡単な料理」
であれば、ヘルパーさんにも安心して頼める。
(口に合わないのは商品のせいであって、ヘルパーさんの力量のせいではないから)
なので、毎日の食欲にあわせて、冷蔵庫などにあるものを用意してもらう・・・が
一番な気がした。
(もちろん、冷蔵庫の中にいろいろ用意しておくのはわたしの仕事になるけれど)
②わたしが毎日、夕食用の弁当を受け取りに行く。
昼食はヘルパーさんに何か簡単なものを作ってもらうことで対応できるけれど
夕飯はやはり弁当が必要だ。
でもそのためには確実に弁当を受け取らなければならない・・・・。
これだけは絶対に避けたいと思っていたことだけど・・・
ケアマネさんと相談して、さんざんあの手この手・・・を検討しても
結論がでなかったわけで・・・・もうこうなったら
夕方届くお弁当は、「わたしが受け取る」という、それしかなかった。
本当は、わたしの毎日の訪問は「朝8時ごろ」の予定でいたのだけど、
弁当問題が解決できないので、その「朝の訪問」を「夕方訪問」にスイッチさせて
対応する・・・ということにした。
夕方4時~5時くらいに夕食用のお弁当が届くので、4時までに実家に着き、
弁当待機。弁当を受け取って、それを食べられるように準備をして帰る。
わたしが夕方に実家に行くことにしたので、
夕方のヘルパーさん訪問は不要ということになるため、
こちらはキャンセルすることにした。
ケアマネさんが
「お弁当の受取のためだけに毎日行かれるのも大変じゃないですか?」
とわたしの負担を心配してくださったけど、
もうそれしか方法がない。
たぶん、「大変」というよりむしろ「虚しい日課」になると思う。
前述のとおり、おそらく大半を捨てることになる気がするから。
わたしはお弁当の受取に行くのか?残飯の処理に行くのか?
たぶん、どっちが目的かわからないような状況になる気がしている・・・。
ちなみに・・・この弁当受け取り問題。
答えがでなくて、ああでもない、こうでもない、と父の意向を聞きつつ方法を
模索していた時に、父は・・・
「たかが弁当のこと・・・
そんなごちゃごちゃ細かく決めなくたっていいじゃないか(怒)めんどくさい。
なんとかなるだろうに。」
とふてくされて「もう弁当の話はしたくない」とばかりに不満をぶつけてきた。
父は本当に、周囲の苦労をまるでわかっていない。
たしかに、たかが弁当受け取りである。
が、わたしがその「たかが弁当」のことで神経質になっているのは、
父がこれまでもドライバーさんや事務局の人に何度もキレたりして
問題を起こしているからだろうが・・・。
(父は施設側からクレーマー認定されていると思う。その証拠に、
ある時期以後、配食サービスの人とは直接話をしないこと、かならずケアマネさんを通すこと・・・という取り決めになったほどだから)
そもそも、自分が問題をややこしくしている・・・ということに気付けない父。
これ以上、配食サービスの施設側に迷惑をかけられないという思いが強い。
だからこそ、ドライバーさんに迷惑がかかることは避けたいのだ。
ドライバーさんから「面倒なじじいだ」と、厄介者扱いされないように・・・。
この一連の流れを・・・ストレス発散とばかりに夫に全部ぶちまけて
話を聞いてもらったわけだけど、その夫から出た率直な感想。
「うーん、なんかもう・・・。お前や周りがそこまでしなきゃいけないんじゃ・・・
もうすでに一人暮らしなんて無理ってことじゃないのか?
施設とか病院にいてもらったほうがいいってことじゃないのか?」
ほんと、その通りだと思った・・・。
わたしもそう思う。
でも、とりあえず今更撤回はできない。
やるしかないって感じだ・・・。