連携。

 (つづきです)

 

わりと安易に「薬だけもらうならわたしだけでもいいんじゃないか」と

勝手に思って、父の診察券だけ持って病院へ来たものの、

「麻薬なわけだし・・・本人来ないとまずかったかな?」と

内心ドキドキしつつ、訪問看護ステーションのドアを叩いた。

 

訪問看護の主任さんがわたしに気が付き、

「ああ!娘さん!いいところに来てくれました」と笑顔で応対してくれ、

どうやらわたしが来たのは正解だったことを、その場で察知。

  

なんでも、朝一で薬を処方してもらうように主治医にお願いするはずが、

肝心の主治医が今日は外来担当ではないため不在で、

できなくなってしまったという。

けれど、(ガンの痛みを抑えるための)痛み止めが切れるのは大変!・・・

ということで、別の医師からすぐ追加の薬を処方してもらえるよう、

今、外来のほうへ話を通しているところなんですよ・・・とのことだった。

 

ううう・・・なんてありがたいこと・・・。そして申し訳ない・・・。

 

開業医と違って、外来は常に予約患者でびっしり埋まっている大病院では

こういう「追加の薬が欲しい」というときって、患者側からすると

なかなかハードルが高いと思う。

 

どこで事情を説明すればいいのか?もまごついてしまいそうだし

順番も相当待たされそうだな・・・と、気後れしてしまうというか。

(・・・というか、主治医が外来にいないというだけであきらめるだろうなあ)

 

ありがたいことに、そういった煩わしい部分を、

訪問看護師さんが全部外来に話を通してくれていたため、

わたしは自分では何も事情を説明する必要もない状態だった。

 

ただ待っているだけでよかったし、本人不在でもOK、

そしてそれほど待たされることなく診察室に通され、

代理に処方してくれる先生から、

「じゃあ前回と同じ量出しておきますね。来週また診察受けてくださいね」

と、いとも簡単に一言言われるだけで約10秒足らずで代理診察も終了した。

 

もう・・・訪問看護師さんサマサマで・・・感謝しかない(泣)

 

  

その後、オキノームを手渡されるときには、

やはり前回と同様に薬剤師Aさんがやってきて、

案の定・・・薬が足らなくなったことについて、いろいろ聞かれることに。

 

前記事に書いたような「囲碁のやりすぎ」の話も、

大事なことなので事実として、もちろん報告した。

薬剤師さんは、「オキノームは飲みすぎてはダメというわけではないけれど」と

前置きをしたうえで、

  

「けれど、患者さんの中には、

オキノームを飲むと安心する・・・という気持ちから、

痛みレベルが2とか3とか・・・それほど高くないのに、

ちょっと痛むだけで気軽に飲む癖がついてしまったりする人もいるんですね。

また、効果が強いので、お守りのように薬を溜め込んでしまおうとする人も

少なくないんです。」

 

たとえばロキソニンなんかでも・・・医者から処方されたときは

「残りは頭痛の時使うためにとっておこ」なんて、

ついつい考えがちだけど(わたしだけ?)

このオキノームでも同じようなことを考える患者がたまにいるってことみたいだ。

 

なんとなーく・・・・だけど、

そういう困った使い方をするのは、高齢者に多いのでは・・・?という

イメージを持ってしまう。

若い人ほど・・・主治医や薬剤師さんの言いつけはきっちり素直に守るよね。

でも年寄りほど、自分のこだわりや思い込みが激しかったり、

自己流に走ってしまうところが・・・。

これは偏見か・・・?(汗)

 

 

この病院で「痛み日記」に、服用前と服用後の痛みレベルも書くように指示したり、

残み残した薬を返すように指示されるなど、きっちり使い方を管理されるのは

そういう理由なのかな・・・?

  

そして、

「オキノームはあくまでも頓服なので、副作用のことを考えると

1日に何度も飲む・・・というのはあまりいいことではないです。

便秘もそうですし、眠気や浮遊感で足元ふらつきやすくなる副作用が出る人も多いの

で、転倒の危険もありますから。」

 

とも。そりゃそうだよね・・・。強い薬には必ず強い副作用が伴うもの。

 

そして、

「オキノームがないと痛みが抑えられないということは、朝晩2回のメインの

薬の量が痛みに合っていない可能性が高いので、これは来週調整しましょう。

次の診察のとき、診察予約より少し早めに病院に来てもらって、

僕のほうへ先に寄ってくれませんか?

朝晩飲む錠剤のお薬のほうを、痛み度に合わせた量に変更してもらえるように、

僕から(診察前に)主治医のほうへ依頼する書類を用意したいので。」

 

びっくり!

そんなこともあるんだ?

薬剤師さんって、主治医が処方した薬を手渡すだけのような人というイメージを

持っていたけど(薬剤師さんに申し訳ない)

緩和ケアだからなのか? こんなふうに、薬剤師さん→主治医・・・という形で

薬の量の調整を依頼することもあるのね。 

 

 

「診察は9時予約なんですけど・・・8時半とかでも大丈夫ですか?

(総合病院って、受付は8時半からですよね?)」

と驚くわたしに、

 

「早ければ早い方が助かります。主治医のほうへ書類作成する時間も必要なので。

僕は8時にはここに来てますから、いつでもどうぞ!」

 

と、薬剤師Aさん・・・・ううう・・・・

受付前の8時に来てもいいですよ!だなんて・・・

この人も本当に患者思いのいい人だ(泣)

 

父の、このオキノーム飲みすぎ問題はわたしも危惧していたので

薬剤師さんが親身に考えてくれる姿勢に、心底ホっとした。

 

薬剤師さんと話した後に、再び訪問看護ステーションへ足を運び、

いろいろ迷惑をかけてしまってすみませんでした、

おかげで無事薬を処方してもらえました・・・と、挨拶。

 

薬剤師さんから主治医に話してくれると言っていた・・・

ということを主任さんに報告すると、

主任さんはニッコリ笑って

 

「あ!よかったですね!

これで訪問看護と先生、そして薬剤師さん・・・と、全部がつながりましたね♪」

 

 と言ってくれた。

 

ああ、そうかあ・・・・・。そういうことなのだ。

これで全部つながったんだ。

父の緩和ケアをサポートしてもらえる体制が。

 

父本人はどのくらい、このありがたみがわかっているか?怪しいけれど

主治医はもちろんのこと、訪問看護師さん、薬剤師さん、

こうして父のことを心配してテキパキ動いてくれる

病院スタッフのみなさんに支えられていることを

当たり前と思わず・・・

こういう病院でお世話になることができていることに

少しは感謝してくれたらいいのだけどな・・・

 

 

このあと、薬を父の元へ届けてからようやくわたしは自宅へ。

移動時間も含めて、なんだかんだ昼までかかってしまい

午前中にやろうと思っていたことが全部飛んでしまった。

 

ともあれ、

 

お疲れわたし。