自分との闘い。

先日の夜のこと。

仕事から帰って来た夫が何やらニヤニヤとしている。

「いいものあげようか?」と

財布を取り出すので、

 

てっきり、商品券でもくれるのかと一瞬ワクワクしてしまった。

(※義母がどこからかもらったものをこちらへ回してくれることがたまにあるから)

 

が、出てきたのはお札大の白い紙だった。

 

「なにこれ?」と受け取って、それが何かすぐに分かった。

 

反則切符である。

 

つまり、夫が運転中に違反で捕まったということ(笑)

 

夫によると、物陰に潜んで張っていた警察官に、

一旦停止無視で捕まっちゃったという。

「オレはちゃんと止まったのに」と

ぶーぶー文句を言っていたが、夫の運転の荒さと雑さはわたしが一番よく知っている。

 

特に見通しのいい道路や踏切での一旦停止になると

夫は普段から「はいはい、一瞬ブレーキランプ光らせときゃいいんでしょ」

という、申し訳程度の止まり方しかしないので、

そりゃ「それじゃダメ」と言われて当然なのだ。

自業自得である。

 

どうでもいいけど、夫が捕まったのはホームセンターのすぐ近くで、

夫は仕事に使うものを買うためにそのホームセンターに来るところだったらしく

「ちょっと買い物しなきゃなんないんで。」

と、こともあろうに切符を切られる前に

その警察官を20分もホームセンターの駐車場で待たせたらしい(汗)

待たせるほうも待たせるほうだけど、警察官もなんて寛大な・・・。

(緊急の用事ならまだしも、たかが買い物だよ?)

 

「警察官、あきらめて帰るかと思ったらちゃんと待ってたわ(笑)」と

夫は笑いながら話したけど、

全くもう・・・むしろわたしなんかはちょっと分けてもらったほうがいいくらいの

夫の神経の図太さである。

 

実は問題はここから。

なんとこの図太い夫、

 

「これ、払ってきてくれていいよ(ニッコリ)」

 

と、わたしに言うのだ。

 

さすがのわたしもこれにはカチンと来たので、

「なんでわたしが?」

と返すと、

 

「だって払いに行くのめんどくさいし、オレ絶対忘れるし~。」

 

と悪びれもせずニコニコ笑う。

夫はめんどくさいことは嫌いで、何でもわたしに頼む人である。

結婚当初から・・・いや、結婚前から

わたしが「尽くしすぎて」しまったのがいけないと

後悔している部分でもあるから、自分の責任でもあるけれど

「夫の尻ぬぐい」までするのは違うんじゃないか?と

お人好し妻のわたしでも思ったので

 

「どーしてわたしが?イヤです。絶対行きません!

反則金を自分で払いに行くという面倒くささまで含めての”罰”なんだよ?」

 

ときっぱり言うと、夫も苦笑いで何も言い返せず・・・(笑)

 

ところが、ここからが毎日大変だった。

わたしだったら、反則キップなんて切られたりしたら

もうその自己嫌悪で頭がいっぱいになって

何もする気が起きないくらいに落ち込む自信があるし、

まして反則金などという忌々しいものは、

とっとと払って忘れたいものに違いないのに

 

夫ときたら、本当に「落ち込む」ということを知らない人なので

これが本気で連日忘れて帰って来るのだ。

毎晩仕事から帰ってきて、わたしの顔を見るとなぜか思い出すみたいで

 

夫「あ、また払ってくるの忘れた(笑)

ねえねえ、やっぱり代わりに行ってきてくれない?オレ忘れるんだよ~。」

 

私「い~や~だ。絶対にいきません。」

 

という会話の繰り返し。

 

夫も夫で、わたしの性格をよく知っているので、

わたしが少しでも「しょうがないわねえ」という隙を見せたら

堕ちることを知っている。

だから、わたしもその「しょうがないわねえ」という顔を一ミリでも見せまいと

必死だった。

 

まったく、傍から見ると何と闘ってるんだ?という話だが

こうなると意地なのだ。

そりゃ、わたしは専業主婦だから毎日いくらでも時間はあるし

夫よりはしっかり者なので忘れるということはまずない。

でも、夫はいくらでも日中、仕事を抜けられるような環境で

銀行に行くことも簡単なので同情の余地はない。

「めんどくさいから」という理由でわたしに押し付けようとしていることが、

なんだかもう許せなかった。

その昔・・・息子が中学生のとき、家に忘れた「その日が提出期限の宿題」を、

それを提出しないと評定が下がるから!と慌ててわたしが車で学校まで届けることが

たまにあったが、

そんなわたしのことを

「自分(息子)が悪い」「過保護だ」「本人のためにならない」

と、正論振りかざしてあきれてバカにしたのはどこの誰だー?

反則金払いに行く」のを妻に頼むのはいいのか???

・・・とまで言いたい気持ちだった(笑)

 

しかし、問題は本当に連日夫が支払いを忘れて帰ってくること。

なぜ問題かというと・・・

反則金の支払いは「7日以内」という期限があるらしいから。

で、それを過ぎるともっと手続きがややこしいことになって、

つまり「面倒」が増えることになる。

 

だから、1日1日期限が近づいて来るのに毎日「忘れた」と言って笑っている夫に

わたしのほうがだんだんとハラハラしてきてしまって

気が気でなくなってきてしまった。

 

もう何度「しょうがないわね。払って来てあげる」と言いそうになったかわからない。

でもそれはなんだか夫に「ゴネ得」を許すみたいで、

そしてわたしの「根負け」に近い気がして言いたくなかった。

 

そしてついに支払期限当日を迎えてしまった。

 

その日はもう、朝から自分がドキドキしていて、

何度もLINEで夫に支払いに行ったか確認しようと思っては、グっと我慢した。

なぜ夫に連絡しなかったというと、

 

連絡したタイミングで「忙しいからお前行ってきてくれない?」

 

と最後の最後で、そうやって押し付けられる可能性が微存だったから(笑)

「絶対に手を出すものか」とここまで我慢してきたものを

このギリギリのところで、引き受けたら意味ないーーー!

ここで折れたくないーーーー!

・・・という、実にくだらない意地と、ひとりで闘っていた。

(↑夫はわたしのこのひそかな葛藤を全く知らないwww)

 

 

そして、結果どうなったかというと・・・

夫はその支払期限当日に、ちゃんと支払って帰って来た。

 

それを聞いて、内心めちゃくちゃ安堵するともに、

 

やろうと思えばちゃんと自分でできるじゃないか!

と、まるで危なっかしい中学生の自立を見守ったかのような気持ちになった。

 

そして、手を出して面倒を肩代わりしてやらなかった自分偉い!!と

ひとりで満足感に浸った。

 

ちょっと意地になりすぎたかなーとは思ったけれど

でも、奥さんは「なんでも屋」じゃないのよ。うん。

 

 わたしは勝ったぞ~(≧▽≦)