今年最初の入院(変化)

入院の手続きから、病室へ落ち着くまでにも

(父に)文句を言いたいことはたくさんあったのですが、

もうそんなことはどうでもいいと思えるような事態になってしまったので

そのあたりの細かい経緯は省略することにしました。

今日で入院から5日目ですが・・・

実は今日から朝夕2回、病室を訪ねることにしました。

病院まで片道35分。渋滞があれば45分。

それを1日2往復・・・となると

軽いフットーワークで行ける距離ではありません。

私の自宅から15分くらいのところにも

総合病院があるので、そこで入院してもらうほうが

わたしは楽かもしれない・・・。

でも、これまで10年以上ずっと今の病院で検診を受けたり何度も入院のお世話になっているので

家族の利便性から、簡単に病院を変えましょ、とは

実際問題なりません。

インフルエンザのほうは

点滴による治療をしてもらっているにもかかわらず、

熱は平熱までさがったり、38度台まで上がったり・・・と

いったりきたりで安定しません。

特効薬があるくらいだし、インフルエンザはすぐに治癒する・・・

問題は呼吸器だけ・・・と思っていた当初の見通しは

ちょっとわからなくなってきました。

これも高齢者だからなのか?肺炎を併発しているからなのか?

そもそもこの熱はインフルなのか?肺炎なのか?

もうよくわからないです。

病気のことは、病院に任せるとして・・・

わたしが朝夕2回、病院へ行くことにしたのには大きな理由が。

それは

父に「せん妄」の症状が出てしまったからです。

せん妄って、いわゆる「認知症とそっくりな症状」のことだそう。

お医者さんから「せん妄です」と言われたわけではないけれど、

ネットで調べてみると、

高齢者の入院には「せん妄」が意外と多いと知り、

突然症状が出て「認知症がはじまった?!」と

思える点など、合致する点が多いので

わたしが勝手に「せん妄」だと思っているだけで、

ひょっとしたら違うかも(このまま認知症になるかも)しれません。

実は入院した当日の夜中に、

ある異常行動をしてしまいました。

(この件は病棟の看護師さんに笑い話として知れ渡ってしまっているので、

念のため、ここには書かないでおきますが)

ただそのときは、熱が39度あり、睡眠薬も服用していたので

看護師さんはみんな

「発熱と眠剤のせいだから、気にしないで」と

笑い飛ばしてくれていて、

わたしも、それを聞いてホっとしていたのです。

が、

今朝、いつものように朝9時ごろに病室を訪ねると

父が入院時に来ていた服が、ベッド脇のイスのところに積んであったのです。

「なにこれ?お父さん、どこか出かけたの?」

と聞くと、

父はいつもよりかなりボヤ~っとした様子で

(まるで寝起きの寝ぼけたような感じ)

「ああ、それなぁ。

 朝、お前が会いにきた夢を見てて、”もう出かけるよ”って言うものだから

 着替えようとしたんだよ。そしたらズボンを履くところで気づいて

 ワシは何をしてるんだ?、と思ってベッドに戻ったんだ。」

と言ったのです。

それを聞いて背筋が凍る思いでした。

ただ、わたしが来た夢をみて・・・ハっと我に返った・・・という

”途中でそれが現実ではない”ということに気が付いているだけ

マシなのか?と思いつつ、

さらに話を聞いていたら、今度は看護師さんのことについて

話し始める父。

「昨日担当だった看護師がなぁ・・・

これが落ち着きのない子で、何度も何度も立て続けに病室に戻ってきては

いろいろ聞いてきたんだ。

4回か5回はやってきたな。」

「しょうがないよ。きっと新人さんで慣れてなかったんだよ。」

と、少しイラついた様子を見せる父を、適当なことを言ってなだめるわたし。

すると

「いや、それがな。途中で気が付いたんだよ。

あの子は、ワシの財布を盗もうと狙っているんだと。

だから、盗まれたらいかんと思って、財布のしまう場所を変えてやったよ(笑)」

と言うのです・・・・!

わたしの頭の中で

「財布を盗まれたと言い出す=認知症

の図式がパっと浮かび上がり、

もう頭の中は

どうしよう!

どうしよう!

どうしよう!

どうしよう!

の文字でいっぱいに。

ただ、その「盗まれると思った」のあとから聞かされた

別の話で、少し冷静になったわたし。

それは父が

「なんかここ2日くらい、おかしいんだよ。

部屋の中の景色がとつぜん違って見えたりするし、

目を閉じているのに、何か景色が目の前に見えたりして気持ちが悪いんだ。」

と言ったこと。

つまり、幻覚のようなものが見えている自覚があるということ。

「そのこと、看護師さんに相談してみた?」

と聞くと

「そんなことは、みっともなくて言えるわけがない。」

と父。

やっぱりそうだよね・・・。

プライドの高い父だもの。

ただ、家族としてはそうはいかない。

病院にいる以上、不安に思ったことはすべて報告しないわけには。

それに、何より自分が心配でたまらなかったから。



父の話を聞いているところへ、

看護師さん2人が朝の点滴のためにやってきてくれた。

いつもどおりに検温・投薬・酸素・血圧などのチェックして

病室から出て行こうとする看護師さんらの後ろから

さりげなくついていくようなタイミングで、父に

「ちょっとトイレ行ってくるね」

と席を立ち、看護師さんと一緒に廊下へ出るわたし。

看護師さんはわたしが一緒に出ていくことに

すぐ何かを察してくれたようで、

廊下で「何かありましたか?」と声をかけてくれた。

なので、今朝父から聞かされた「おかしな話」をすべて看護師さんに報告し

「入院前は認知症の症状と思われるものは一切なかったのですが

ちょっと今朝、こんなことを言い出したので不安になって。

こういうことってよくあるのでしょうか?」

と相談してみたのです。

すると

「おそらく一時的な”せん妄状態”だとは思うのですが・・・。

まだ熱もありますし、点滴などの投薬もしているので、断言はできませんが

特に高齢の患者さんの場合、こういうことは時々あるんですね。

入院で環境が変わってしまうとか、

特に個室ですと、一人で過ごす時間が長く、

そういったことからせん妄状態になることはあります。」

という説明だったので、少しだけホっとしたのですが・・・

まあ、医者ではなく看護師さんなので一般的なことしか言えないのはわかっていましたが

それよりも

着替えて出て行こうとした・・・あたりは

今後病室から勝手に出ていく可能性がないともいえないので

「ちょっとそういうおかしな言動をする可能性がある」ということは

耳に入れておくべきと思ったのですべて話したわけです。

「わたしから聞いたとは父に言わないでください。」

とお願いすると

「もちろんです。大丈夫です。

教えていただいてありがとうございます。

こちらでも気を付けるようにしますね。」

と笑顔で言ってくださった。

本当にここの看護師さんたちはみんな優しくて感謝しかありません。

で、そのときに看護師さんから「せん妄」というキーワードを聞かされたのが気になり

看護師さんと別れた後に、スマホですぐに調べたわけです。

認知症」が、何か月も何年もかけて進行していくのに対して

「せん妄」は、何かのきっかけ(主に入院・手術・投薬が多い)で数日のうちに突然起こる

のだそう。

症状は認知症と同じような感じだけれど、突発的に始まる・・・という、

そこが最大の違いらしい。

・・・というわけで、入院前にはいたって”まとも”だった父なので

「せん妄」の可能性が高いらしい・・・。

ただ、退院したらウソのように元通りになる人もいれば、

そのまま認知症へと移行してしまう人もいるらしく・・・

この先のことは不安だらけです。

朝、わたしが顔を出した時は

ものすごく表情のない、ぼけーーーっとした顔をしていた父でしたが

わたしと話をしているうちに、

だんだんと生気を取り戻すというか、いつもの父に

戻ってきたので・・・・

ひとりで1日中病室で過ごし、

看護師さん以外誰とも会話をしない生活は

よけいに良くないのではないか?と思い

今日から夕方にも顔を出そうと決めたわけです。

ただ話し相手になりに行くだけなので・・・

誰か代わりに行ってくれないかな・・・

って思うけど、

代わりを頼めるような人はどこにもいない。

でも、父のせん妄(認知症かもしれないし)が

入院が長引くにつれて悪化したら・・・?と考えると

そっちのほうが怖いので、

きつくてもがんばって通うしかありません。